すいか

マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”のすいかのレビュー・感想・評価

4.4
メゾン・マルタン・マルジェラについて、マルタン・マルジェラ自らが語るドキュメンタリー。

“メゾン・マルタン・マルジェラ”は、ベルギー出身の同名のファッションデザイナーの制作による、1988年設立のフランス・パリ発のファッションブランド。創立者にしてそのデザインを長年にわたり担ったマルタン・マルジェラは、その素顔を知る人物はファッション業界関係者でさえ極少数。雑誌のインタビューもFAXで質疑応答するなど、ミステリアスな存在として知られてきた。2008年に引退。(Wikipediaより)

私はファッションについてのドキュメンタリー映画がとても好きだ。デザイナーが普段何を考えているか、どんなものからインスピレーションを得ているのか、どうやって服を生み出し、ショーを作り上げているのか。全部ワクワクする。そして、モデルが服を身につけて颯爽とランウェイを歩く様子は、本当に美しく、芸術的で、飽きない。本作でも、そういったワクワクをたくさん感じてとても楽しかった。
ゴージャスでカラフルな服が多かった時代、マルジェラが発表したのは、ごくシンプルなデザインの服だった。タイトなデザインが多い中オーバーサイズの服を出してみたり、ミニスカートが主流の中くるぶし丈のスカートを出してみたり。素材も、豪華なものではなく、化繊だったり古着をバラしたものなど、色々使って組み合わせ、新しいシリーズをつくる。なんだかサステナブル…今風だ。

びっくりしたのは、彼の几帳面さ。小さい頃の宝物まで綺麗に保管して、年代別に白い箱に入れたものがびっしり積み上げられているオフィスは、いっぱい物があるのになぜか統一感がある不思議な空間だった。
昔の宝物の中でも、特に印象に残っているのは、服を縫っていたおばあさんから貰った色々な端切れを貼ったデザイン帳だ。世界に名を轟かすデザイナーは、小さいときからやはりちょっと違うんだなーとしみじみ…もうすでに何か完成している感じだった。

一切顔を出すことのない彼。なぜ顔を出さないかと問われると、顔を出したら、服を作ることに集中出来なくなってしまうからと答えていた。職人だな。
彼についてもブランドについても全く知らずに観たが、独特の美学や作り出す世界のパワーに圧倒され、一気に惹き込まれた。公開終了間際、観てよかった!

10本目。
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