にくそん

グッド・ワイフのにくそんのネタバレレビュー・内容・結末

グッド・ワイフ(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

80年代メキシコで起きた経済危機の余波をまともに食らうセレブ妻の話。栄華の日々は冒頭に一瞬しか描かれず、あとはノンストップで没落していく。すごい角度で落ちていくので、ほとんど絶叫コースター。

セレブ妻の壊れっぷりがいい。マウントを取り合う相手の夫からカフスボタンを盗んで自分の夫に着けさせて、当のライバル夫妻との食事会に行っちゃうの怖すぎる。盗まれた当人が気づくものの、怒るよりも怯えていて、この辺りからはもう愉快になってきた。ラスト、犬になって吠えだす妻を見る夫の目が、初めて出くわすモンスターを見る目になっていて、黒い痛快さがある。

主演のイルセ・サラス、ベジータみたいな肩パッドを仕込んだドレスがよく似合っていた。特に赤いやつは最高。この映画のスタイリング、すばらしいな。数日、数週間を描いた映画だと思うけど、映画が進むにつれて彼女がどんどん年を取っていく。

描き方が、想像していたよりスタイリッシュだった。黒い蛾とか、痒い首とか、ラジコンカーとか、ベタなアイテムだけど陳腐じゃない。音楽もいい感じ。手拍子で奏でる曲が何回か使われていて、同じ曲がシーンによって違った効果を生むのが面白い。

なんだろう、この娯楽のジャンルは。ちょっと名前がつかない面白さ。
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