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パピチャ 未来へのランウェイのsonozyのレビュー・感想・評価

3.5
アルジェリア出身の女性監督ムニア・メドゥールが、自身の体験をベースに、1991年に始まったアルジェリア内戦時代(暗黒の10年)を舞台に、当時横行していた女性弾圧の実態を、ファッションデザイナーを夢見る大学生ネジュマ(リナ・クードリ)の視点で描いた作品。
セザール賞: 新人監督賞・有望若手女優賞

ファッションデザイナーを目指す大学生ネジュマ(リナ・クードリ)は、管理人の男に口止め料を渡して夜に親友と大学寮を抜け出してはクラブで踊ったり、自作のドレスを学生たちに販売したり、抑圧を打破するように活動している。

ある日、家族に起こった悲劇を機に、ハイクと呼ばれる5m四方の白い布だけを使ったファッションショーを大学寮内で開催することを決め、親友たちと準備を始める。

だが、首都アルジェでは、武装したイスラム過激派勢力の台頭によりテロが頻発し、ネジュマの周囲でも“女の正しい服装(黒いヒジャブで目以外を隠す)”を強制しようとする動きや、外国語教育を弾圧するなど横暴が加速。

裕福なボーイフレンドは、この国にいたらいつか殺される。結婚して国外脱出をしようと誘うが、祖国を愛するネジュマは「私はここを離れない」と強い意志で反発する。

ファッションショーは実施できるのか?・・

原題「PAPICHA」は、アルジェリアのスラングで“愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性”=まさにネジュマはこの資質を持っている女性ですが、不条理な抑圧と闘い続ける彼女の怒りのエネルギーに心揺さぶられます。

世界経済フォーラム発表のジェンダーギャップ指数2020で、アルジェリアは153カ国中の132位と、この映画のような性差の抑圧状況がどこまで変化しているのか気になります。
(同性婚の議論が未だにあんな次元のここ日本も121位なので、他人事ではありませんが。。)
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