fonske0114

パピチャ 未来へのランウェイのfonske0114のレビュー・感想・評価

4.0
実話に基づく物語で、90年代アルジェリアが舞台。
紛争やテロ等で不情勢な中、抑圧されていた女性たちがファッションショーをしようともがく。私にはかなり衝撃が大きく、宗教対立や平等が叫ばれる現在まさに「今世界に必要な映画」という批評に納得の一本。

以下ネタバレ感想を。

物語としては、抑圧された女性が社会的価値観や倫理観に反発し、自由を求めてファッションショーをする、といえるが中身はかなり根深い。

反逆者を殺すという恐さの中自分や自立を求めた女性たちの思いに目が離せない緊張感があるのだが、同時に私が感じたのは「社会的弱者」への抑圧である。

今作で描かれたのはイスラム教の女性ではあるが、貧しい人や移民など所謂マイノリティや弱者と言われる人たちへの咎めであり抑圧とも見ることができないだろうかと思った。

レバノンの不法移民の家族から家出する子供を描いた「存在のない子供たち」、世界大戦下で普通の暮らしが崩壊する「ジョジョラビット」など昨今の作品と今作も「抑圧された生活における不自由さへの挑戦と普通の崩壊」という部分で通ずるものがある。

「ジョーカー」や「パラサイト」などのわかりやすい格差社会描写もそうであるが、やはり対立するものと格差における弱者が世界的なテーマであることが今作でも確認できる。

この作品でまた考えたのは、イスラム教=悪という構図になっておらず、それぞれでそれぞれの意見を持っていたり我慢したりしているとあったこと。

作品中「わかりあうために話すべきで、わかりあえないなら話さない」というのは言い得て妙で、「わかりあえない」という選択肢も提示されていることは非常に現実的なのと冷たさもあった。

社会的価値観への反発のために抑圧される女性には非常に心痛いところがあり、現代日本でもまだまだ課題は多く、治安の良さや女性の社会進出などの市民権の獲得の一方で一人一人が相手一人一人をきちんと尊重仕合う大切さを改めて感じる作品である。
 
正直なところ非常に心にズシンとくる作品で、アルジェリアの宗教関係や内政など詳しくない自分が非常にはがゆかった。