ペコリンゴ

パピチャ 未来へのランウェイのペコリンゴのレビュー・感想・評価

3.7
記録。
そこで闘う強い意志。

メニア・ムドゥール監督の実体験に基づいた人間ドラマ。「パピチャ」とは愉快で解放的な女性を意味するアルジェリアのスラング。この映画に込めた願いである事は言うまでもない。

舞台は1990年代のアルジェリア、イスラム主義の反政府軍と政府軍によるアルジェリア内戦の時代。後年になり「暗黒の10年」「テロルの10年」などと称される抑圧された空気感の中、隣り合わせの死の恐怖に負けじと自由を求め闘う女性の姿を描く。

衣食住の「衣」。
個々の経済状況などを考慮しない場合、ここ日本においてこの自由が侵害されることは基本的に無い。その時々の流行を押さえた、或いは流行に左右されない衣服に身を包むことは自由であり、権利であると誰もが知っている。

だが、本作で描かれるのはそういった自由が許されない世界。女性が肌を露出することや、ヒジャブの未着用が原因で殺されてもおかしくない。理不尽な価値観を押し付けられ、街では銃器を持った男に怯えなければならない女性たち。命懸けのファッションショーが熱を帯びるのは、解放を求む叫びであるからに他ならない。

闘う女性のドラマに確かな見応えを感じると共に、そうせざるを得ない状況が作り出されてしまった背景については少し考えてしまう。

抑圧する側はされる側の言い分などきっと微塵も考えない。何かを強いる人間にならないために何が必要か。現代に生きる我々はそれを知っていなければならない。