映画好きの柴犬

パピチャ 未来へのランウェイの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

3.8
そのランウェイは未来につながっていたのか?

 イスラム原理主義が台頭する90年代のアルジェリアで、ファッションデザイナーを目指す大学生ネジュマ(リナ・クードリ)が、悲劇に見舞われながらも女性の自由と自立をかけてファッションショーを開こうとする姿を描く、社会派ドラマ。

 アルジェリア出身でフランスに渡ったムニア・メドゥール監督の実体験を元にした作品。イスラム社会の女性を描いた作品はたくさんあるけれど、本作で描かれる大学生たちは、日本でもかなり遊び人の部類に入るんじゃないかというくらい弾けまくってる。まだ女性の自由が多少はあった時代なんだろうけど、そこに隠に陽に女性への圧力が強まっていく様子が恐ろしい。何より恐ろしいのは、男性だけでなく、体制側についた女性からも圧力がかけられていくこと。

 それに反発する彼女たちだが、見ていてハラハラするし、正直もっと命を大事にしてと思う。ハリウッド映画なら、クライマックスのファッションショーが大成功でハッピーエンドとなるところだけど、そうはならないところに現実の厳しさがある。

 主演のリナ・クードリもアルジェリア出身ということだけど、ウェス・アンダーソン監督の新作に出演が決まっているとかで、要注目。