ミシンそば

グランド・ジャーニーのミシンそばのネタバレレビュー・内容・結末

グランド・ジャーニー(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

当サイトのオンライン試写会にて鑑賞。
実際に鳥と飛んで撮影をし、実話ベースの話であることしか情報は入れていない。
原題は「Donne-moi des ailes」(翼を与える?的な意味らしい。渡り鳥の「渡り」を扱う作品としては直球タイトル)。
個人的に英題の「Spread Your Wings」がクィーンの楽曲を思い出させる感じで気が利いてて好きだが、何だよ邦題「グランド・ジャーニー」って。
愚痴からレビューを始めてしまったが、総合すると家族で観られる良質な冒険映画と言っていいと思う。

ゲーム好きでFワードよろしく「Mから始まる5文字」を多用して、蚊の多い湿地の近くの田舎に悪態をつく、今時の都会っ子なトマ少年だが、結構専門的な知識を知ってたり、
明らかに変人で、親としては失格も同然の父親の手伝いもやったりと、随所で観られる父のロマンチストぶりを順当に引き継いでいることが理解できる。

この父親、物語の最序盤の時点で結構やらかしており、本人のトマに対する押しの弱さから、後からどんどんボロが出てくる.

そしてボロが出た時点でトマは無鉄砲な行動、つまり、雁を連れて勝手に飛ぶのだ。
父親やその仲間、電話を聞いて駆け付けた別居中(離婚済み?)の母親ら、大人たちは狼狽しているが、
トマは順調に飛ぶだけでなく、着水して雁を休ませたり、現地住民と交流して自力で補給をしたり、害獣を追っ払ったり、嵐の目を見つけてそこに向って飛んだりと、
数日前までもやしっ子だったとは思えないほどガッツのあるところを見せつける。
脱水症状(そして明らかに低栄養)に陥りながらも、二十日も飛んだだけあって、着くころには最初と比べて相当陽に焼けてる。

観る前の印象としては、子供の成長物語かと思ったが、単純にそうではなく、両親揃って自分が避けてきた、触れてこなかった何かに対する挑戦と成長をも描いており、
その点が最初に「家族で観られる」と言った要素の一つである。

観終わってから調べたが、父親クリスチャンのモデルであるクリスチャン・ムレクも脚本に関わっているだけあって、
フィクションとしての要素が相当に強いらしい(まあ少年が飛ぶには過酷過ぎるから当然か)。

序盤から処遇がどうなるか気になるところであった、一羽だけ別種で、トマが一番に愛情を注いでいる「アッカ」のことを、
うやむやにして話を終わらせたことに関しては、あんまり納得いかなかった。
あと、エンドロール中に席を立たないことをお勧めする。