こまだこま

グランド・ジャーニーのこまだこまのレビュー・感想・評価

グランド・ジャーニー(2019年製作の映画)
3.9
 絶滅危惧種の雁をヒナから育て、ともに海を渡る。ロマンチックで非現実的にも思われるが、実話に基づいたストーリーであるというから尚更驚いてしまう。

 自分のことを信じて慕ってくれる存在が、人の心を揺れ動かし生きる力を与えてくれるのだと思う。主人公のトマにとってはその存在が雁たちであって、特に一羽だけ種類の違うヒナを"アッカ"と名付け気にかけていた。雁色のマントを着た彼が鳥の鳴き声を真似ながら鳥たちと水辺を駆け回る様は、親鳥そのもののようで感極まった。また、トマだけでなく、両親もそれぞれ成長し変化を遂げていたところも印象的だった。
 あとは、好きなことや好きなものに夢中になって打ち込んでいる姿って年齢を問わず輝いている。グライダーで空を飛ぶシーンでは父子の目の輝きは同じで、どちらも少年の瞳のようで眩しかった。そして、着水に苦戦するトマに父が助言した、"風に身を任せる"という台詞。なんて素敵で穏やかな言葉なんだろう。

 フランスとノルウェーの雄大な自然の映像と、ゆったりとしていて壮大なサントラに心を洗われた。
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