Ren

マリグナント 狂暴な悪夢のRenのレビュー・感想・評価

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)
4.0
めちゃくちゃ面白い!自分はホラー(特にジャンプスケア多めのやつ)苦手人間なのだけど、人がホラーというジャンルに惹きつけられる意味がちょっと分かったような。それくらい鮮烈な映画体験!

ジェームズ・ワンの手腕すごっ。時代と監督が違えばC級珍作ホラーで片付けられてしまいそうな脚本を、演出とジャンプスケアの手数とバキバキの映像でA級にのし上げてしまう辺りがとにかく快感。
中盤辺りまでは教科書通りに、照明・大音量・影 で驚かせながら、後半で一気に転調させていく感じが堪らない。「俺がやりてぇのはこれだ!」というジェームズ・ワンの悲鳴が聞こえてきそう。
開始1分からフルスロットルで最高。デヴィッド・フィンチャーみのあるオープニングクレジット含め、無駄の無さがおしゃれ。

クリーチャーも見たことなければアクションも見たことない斬新さ。電気点けろよ!とか、どこで恋沙汰やってんだよ!みたいなホラーあるあるツッコミなんてどっかに飛んでいくくらいテンション上がって、ポップコーン買えばよかったと後悔した。
しっかり怖いけど、夜眠れなくなっちゃうようなイヤな引きずり方は無く、ある意味気持ち良く終わる後味もホラー弱者からしたら嬉しかった。

タイトルのマリグナント(malignant)とは、悪性の、という意味。全てが繋がる快楽を味わってほしい一作。



《⚠️以下、ネタバレ有り⚠️》










人間には誰しも二面性があって....とは良く言いますが、本当に二面にしちゃった。ただの二重人格ではない、ガチの二面は珍しい。VHSで子ども時代のマディソンを見て、カメラが彼女の背面に迫っていき....からのクリーチャー出現の強烈さ。牢獄以降の背面アクションも斬新で非常に楽しめた。
最後、妹の呼びかけに応えて終わる辺り、血縁など関係無い愛のお話に帰着していて、シスターフッドものとしても及第点だなぁと。

その他、
○ 冒頭の後頭部強打が引き金。DV夫のキャラ設定に必然性がある。
○ 洗濯機越し悲鳴で心臓止まるかと思った。
○ マディソンが犯人なんじゃないの?という観客だれしもが抱く疑問を、誘拐被害者の天井落下で見せる強烈さが上手い。
○ 廃病院侵入のシークエンスは何も起こらずちょっと拍子抜け。マディソン投獄シーンとのカットバック&なるべく尺を短くまとめることでこのシーンの弱さを最小限に抑える工夫は見られましたが....。
○ 観終わった後なら展開が読めた云々と言えますが、普通に振り回されたし楽しめました。二重人格スリラー → 表裏一体モンスター映画 まで行くアイデア。読めた人はどこまで読めたのだろう。
Ren

Ren