悶

マリグナント 狂暴な悪夢の悶のレビュー・感想・評価

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)
4.5
【本作品鑑賞のきっかけ】
ジェームズ・ワン監督は、私にとって特別な存在です。
私のお気に入りの「ソウ(SAW )」の生みの親だから。
その最新作ということで、鑑賞してきました。

【率直な感想】
<ホラー映画ではない>
変なこだわりかもしれませんが、本作品が「ホラー」と紹介されているのには、違和感を覚えます。確かに、ホラーの要素は入っていますが。
「MALIGNANT is an original thriller NOT based off any existing IP.」
「マリグナントは、オリジナルのスリラーだ。既存のIP(知的財産権。著作権など)を基にしたものでは全くない」
これは、監督自身がSNSに掲載した内容です。監督自身が「スリラー」だと言っているのだから、本作品は、スリラー映画でしょう。

<あらすじを少しだけ>
主人公のマディソンは、夫との諍いの後、不思議な体験をするようになる。
自分が見知らぬ場所にいることに気づくと、その目の前で、殺人が行われるのだ。
単なる悪夢かと思っていた彼女は、それが実際に起きた殺人事件だと知る。
警察にも相談する彼女だが、この悪夢のような現象は続き、現実に殺人が連続して起きていく。
殺人鬼は、果たして誰なのか?彼女には、何故、殺人鬼の犯行現場が見えるのか?

<ソウ(SAW )との類似点>
さきほど、本作品は、スリラーと述べました。本作品の殺人鬼が、霊体や悪魔ではないことは、その理由のひとつです。
私は、ジェームズ・ワン監督を一躍有名にした傑作、「ソウ(SAW )」に類似した作品と考えています。
ホラーの要素はあるけれど、サスペンスの要素が主体のスリラー、それが「ソウ(SAW )」。
その題名に、あの衝撃的な結末のヒントが隠されていることは、鑑賞済の方には納得いただけると思います。
本作品もそれと同じことが言えます。

題名の「MALIGNANT」は難しい英単語ですが、「悪性の」とか「悪質の」という意味があります。
難しい単語なのは当然で、これはしばしば、医学用語として使われます。
名詞化した「malignancy」は「悪性腫瘍」を意味します。
そして、「悪性腫瘍」という言葉は、作中に何度か登場します(きちんと、日本語字幕で出てきますので、見逃すことはないでしょう)。
それが、殺人鬼の正体のヒントです。「SAW」が、殺人鬼の正体のヒントとなっていたのと同じように。
もちろん、「SAW」と同様、殺人鬼の正体は、意外かつ衝撃的です。

<しっかりと伏線>
殺人鬼の意外な正体が判明した時、私は、ストーリー中に数々の伏線が張られていたことに気づきました。
スリラーには、しばしばミステリの手法が用いられていますが、この作品もそうしたタイプのスリラーであることが分かります。
また、マディソンは、ある日、突然、悪夢のような感じで殺人現場を目撃するようになりますが、そのきっかけは何か、作品の後半できちんと合理的な説明がされています。

【全体評価】
ホラーの要素はあるものの、それほど恐怖感はないと思います。
アクションシーンが多用されていて、ホラー色が薄まっていると思います。冒頭、いきなりアクションシーンがあるのには、ちょっと驚きました。これは、よい意味で期待と異なる作風でした。
本作品は、殺人鬼の正体は何者か、ということと、何故、マディソンに殺人の犯行現場を目撃する能力が身に付いたのか、というミステリとして鑑賞すると、より一層楽しめるのではないでしょうか。
傑作の「ソウ(SAW)」にアクションシーンの要素を加味した作品として、高く評価したいと思います。
やはり、ジェームズ・ワン監督は只者ではないな、と痛感しました。