Aya

狩りの時間のAyaのレビュー・感想・評価

狩りの時間(2020年製作の映画)
3.3
#twcn

装ていファンには結構いいw

近未来ど底辺のクズイケメンの若者4人の、ど軽率な強奪ケイパーもの×長いお仕置き鬼ごっこ。

結構いろいろ詰まってて楽しいんですけど、とにかく長い。

伝説の苦く苦しく愛おしい青春映画「파수꾼」のユン・ソンヒョン監督、10年ぶりの新作。

完全ネトフリオリジナル映画。
うそ・・・日本語字幕のクレジット出なかった。
訳ひどかった。

しかもジェフニとウリベッキーの再共演に「パラサイト」で爆発した牛くんと、これまた日本公開なしで私の大好きなフィソプンと出てる「1999,면회」のアン・ジェホンを混ぜるという、もう個性豊かな今をときめくイケメンパラダイスやりたい放題!

私キャスティング会議参加してたっけ?案件。

あっ!すみません!
整理しないとわかんないですよね?!
すみません!説明します。

ジェフニ → ジュンソク役イ・ジェフン「建築学概論」」とか

ウリベッキー → サンス役パク・ジョンミン「それだけが、僕の世界」とか?

牛くん → ギフン役チェ・ウシク「パラサイト」の息子。カナダ人

アン・ジェホン → 愛されるデブ

フィソプン → シム・フィソプくん。「京城学校」のクソ教官?とか?この映画には出てませんw

あ、牛くんて意外にジェフニやウリベッキー と8歳も離れてるんだ。30歳〜40歳はあんま違和感ないよね。

そして大切な監督の前作「파수꾼/Bleak Night」
DVDはリージョンが違うので再生できないのですが、ブルーレイが出てました!
http://prod.danawa.com/info/?pcode=1698249

しかし、2012年発売と前すぎて、価格設定っできず、実際には買えないようです(T_T)
なので日本の方は根性で見てください!その価値はあります!

ある日、突然自殺した息子、ジェフニ。息子のことを何も知らなかった父親がその謎に迫ってゆく。
彼は思春期特有と言ってもいい、超えられない壁と抱えられないジレンマ、歯痒い気持ちの中で静かにもがき、静かにこの世を去った・・・。

ジェフニと仲の良かった、ソ・ジュニョンくんとウリベッキー(パク・ジョンミンくん。役のあだ名がベッキーだったのでファンにはこう呼ばれている)とのまあ、よくあるけれど、この3人にしかわからない青春の表と裏の2ページが表現される・・・最高の映画です!!!
語り出したらうざいので、そっちのレビュー見てくださいw


話を今作に戻そう!!

舞台は荒廃した近未来の韓国っぽいゲットー。
出所したて(強盗で3年もくらうバカ)のジェフニを兵役から帰ってきましたレベルで、豆腐も買わずに出迎える無礼なアン・ジェホンと牛くん。

そこで務所のパイセンから持ちかけられた南の島での儲け話で一山当てようぜ!と性懲りもないジェフニったら★
ジェフニって言葉の語尾がバウンドするのが可愛いっすね。

しかし、初期投資資金が200万円ほど必要。が、
3年前の強盗で得た金が残ってないだとう?!

どうやらこの世界は、ウォンがインフレを起こし、世界的金融恐慌の末(たぶんこいつらの無駄遣いとかもあるだろ)、せっかくの金がほぼ、ないとな。

ゴールドチェーンにadidasのちょっとどうかと思う古めのHIP HOP感を漂わせるジェフニ(実際のジェフニもスモーカーよ★)とタグられまくったまさにゲットーな街並みに流れるオールドスクール。。。

古いよ・・・やばいよ荒廃した近未来!!
いや原点回帰かもね?!
ちょうど同日に「攻殻機動隊」の新しいシーズンが出たからなんか比べちゃうw

そんなブリンブリンで訪れた闇カジノで働くウリベッキーを捕まえて金返せ!と迫る。
ふむふむ。ウリベッキーは金を盗んだ時に裏切りって金を持ち逃げしたようだ!

問い詰めるためにウリベッキー に会いに行ったが、外でボコボコにする前に、ちゃんとペディン着せてくれる3人優しいな!

そこでウリベッキーを巻き込み、この闇カジノが所有しているマネーを強奪して、夢の資金に当てようとクソザルな計画を、汚いクラブで大声で話し合う浅はかさがもう・・・成功するわけないやろw

すでにまともな人生から外れてしまった4人は、この荒廃した世界ではまともに生きていけない。
明らかにやばい仕事なのはわかっているが、八方塞がりの人生のワンチャンを夢見て・・・。

この監督あれね!
窓の外を見つめる、とかベランダからの風景、とか好きね!

強盗のための武器調達シークエンスもちゃんとある。
カラシュのイケてるやつとかめちゃ太いショットガンを購入。

戦争かよ!
ほんと、韓国兵役あってよかったよね~。
こういうシーンで役者がナチュラルに銃を扱えるのは強み。

特にこの映画全体で装ていシーンがめちゃくちゃ多くて、手際の良さがほんと目立つ・・・。
音演出がめちゃくちゃ気合入ってるので、装てい好きの方は、ナチュラルに萌えます。

意外にジェフニのカラシュ(カラシニコフ。いわゆるAK-47)発砲がヘタクソでしたw
てか、左利きだったんだ。

彼はアーミー系の銃向かないと思います。
「高地線」でもあまりみなかったような・・・。
ハンドガンを撃つシーンがあまりなかったので、小火器系が扱えるかどうかはわかんない。

勇足で計画を遂行する4人!
おうベンアフの映画思い出すぜ!

映画全体の予算の使い方の話をすると、前半は場面がコロコロ変わるが、それぞれが限定された空間内に丁寧に作られたセットとそれを強調する照明とカメラワークを多用。

空間を区切る、というのは個人的に好きな演出手法であります。
なぜならその空間自体に使うお金を安く済ませて、他のところに使えるから。
節約上手な作り手、で工夫を凝らした手法、好きです。
その成果が後半に活かされます。

その意味で、この映画の適材適所の予算配分が妥当だと言えます。

ちょっとこの強盗シークエンスは現実身がなさすぎですねえ。
人質の数が多いし、こんな簡単にやくざの賭博場は襲えないよ〜。
セキュリティどうなった?!だし、手際がクソ悪い。

一瞬の判断で罪もない人質を殺せる決断力がないと、強盗事件成功しないよ~。
他人なんだから顔も見ずに撃ち込むのがベストです。

クソミソ計画なのに、逃げ切れててガンぺも無能でウケるw

しかも思わぬミスが。
自分たちの写ったCCTV(監視カメラ)映像を奪ったと思ったら、そのHDの中にはもっとやばい情報が入っていた・・・。
ことで金以上にガンペから追われる妥当な理由ができてしまった。

すぐに逃げず、4人の中で唯一家族のいる牛くんが別れを告げてから、とか浅はかすぎるし、武器の調達場所だってすぐバレるよバカ・・・。

まあ追ってくるガンペもそこそこ無能なんで、お互い様かなあ、と。

しかしボスのパク・ヘスオッパはその静かながら淡々と目的を果たす迫力ある存在感と容赦ない(てかガンペ的にこれくらいの報復普通な気が・・・)追い込み、確実なスナイパー技術でじわじわとコイツらバカを追い詰めてゆく。
私でもまだマシに逃げれる・・・。

そして案の定大ピンチに!となるが・・・
えー?!

狩りの時間てそういうことーーーー?!
こわっ!
だったら前説が長いよ!
そういう映画あるよねw

そして命の危機を感じた時、走馬灯のように、そう、マトンのように思い出す昔のキャッキャした4人の光景がちょっと日本ぽい。

パク・ヘスオッパはなんで闇カジノなんてやってんだろう?
スナイパーとして憲兵としてのクオリティがハンパないのに。
と思ったら、彼には実は別の顔が・・・。

文字通りハンティングのようにバカガキを追うパク・ヘスオッパ。
そして武器商人のおっちゃんの身内はパク・ヘスオッパを追う。

一応地味に三つ巴となりますが、基本逃げるガキと怖いおっさんの攻防戦。

雰囲気は十分。廃墟や病院で武器を片手に逃げ惑う若者。
基本、シチュエーションが夜か夕方なので、明暗、ライティングをうまく使った雰囲気作りに成功してます。
ちょっと「人狼」に似てるよね。

「파수꾼」では霧の深さや寒い朝など抜けるような空気感を表現していた監督。

種類は違えど、空間表現に非常に才を感じます。

どんどん追い詰められ、仲間も少なくなってゆくが、これ1人だったら耐えられないよね。

なんだかんだお互いを疑うことを知らず(一回裏切られてるのに)、助け合って危機を乗り越えようとするのはわりと珍しい部類かと。

誰1人、自分だけ逃げようともしないし、逃げようか逃げまいかみたいな苦悩に陥るやつもいない。
もうソイツ無理だろ、って奴も絶対に見捨てない。
ある意味めちゃ平和な世界線だよ。

しかも、頭悪いガキだったジェフニのビルドゥングスロマンでもある。
まあ、ここまでの目にあって成長しない方が無理かw
全てがカッコよく収まっているように見えて、ジェフニの成長動機がちょっと弱すぎるかな〜。

気付いたのはこの話、めちゃ戦いのシーンがあるんですけど、多数VS多数という戦いはあるっちゃあるんですけど、メインではなく、ほぼ多数VS1という構図の戦闘なんですね。

この荒廃した近未来で1になるのは当たり前なようでいて当たり前じゃないよ、ってこの4人のイケメンクソバカ共が教えてくれた気がします。

イ・ジェフンくんは元々、優しかったりドジだったり童貞だったりピュアな役が多くて、84年生にも関わらず、かろうじてキスシーンはあってもベッドシーンがほぼ見れない役者さんなんですよね・・・なので2009年の「ただの友達?(친구사이?)」はものすごく貴重!

2014年の除隊後くらいから今までは見れなかったようないろんな役に挑戦してきて、今はそれが安定した感じ。
人によって彼の役や作品のイメージに違いはあれど、それが多様化しているのはファンとして嬉しいところ。

長くなりましたが!

そんなわけで「파수꾼」の強火ファンとしてはウリベッキーとジェフニが自身のキャリア的にも作品の質的にも大きな役割を果たした映画「파수꾼」の、同じ監督で再共演!ってだけでもウハウハだし、あの誘うシーンと誘ってくれたことに感謝するシーン・・・涙、涙です。

ウリベッキー の出番がくそ少なかったのも涙、涙です(T_T)
もう一本くらいこの2人で青春もの、撮ってくれませんかねえ??

Aya

Aya