「ハリウッドでは韓国映画と言われ、
韓国ではアメリカ映画と言われる」
というこの作品。
間違いなく、アメリカ映画だった。
80年代韓国から移住してきた家族が、
アメリカでの成功を夢見、生きていく。
少しばかりカタコトな英語で、
心臓を患った息子とそのしっかり者の姉。
そこに、おばあちゃんが越してくる。
その日常を淡々と、
でも、愛らしく感じるのは、
息子のデビッドの愛おしさからだろうか。
生まれた時からアメリカで育ったデビッドと、韓国で暮らしてきたおばあちゃん。
アメリカに住む韓国人なのに、韓国の文化がやけに異物に感じるのは何故だろう。
デビッドと重ねて、私はこのおばあちゃんに理由の無い嫌悪感を感じていた。
通例通り、嫌悪感を感じさせるというのはだいたい役者の演技の巧さゆえだ。
主演のスティーブン・ユァンの、
細かな表情のシーンがとても好み。
ネタバレになるから書かないけど、
ある場面の受けの評価が凄かった。
いつか読み返した私も、この表現だけで、絶対覚えていると思う。
アカデミー賞作品賞候補は、わたしは『シカゴ7裁判』の方が好きだけど、
主演男優賞は彼が取ったら納得。
万人ウケの作品ではないかもしれないが、
綺麗で、丁寧な、家族の話。
試写会で観せていただきありがとうございました。
ータイトルの「ミナリ」は、韓国語で香味野菜のセリ(芹)。たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められているー
(HPより)