ねまる

ミナリのねまるのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.6
「ハリウッドでは韓国映画と言われ、
韓国ではアメリカ映画と言われる」
というこの作品。
間違いなく、アメリカ映画だった。

80年代韓国から移住してきた家族が、
アメリカでの成功を夢見、生きていく。
少しばかりカタコトな英語で、
心臓を患った息子とそのしっかり者の姉。
そこに、おばあちゃんが越してくる。

その日常を淡々と、
でも、愛らしく感じるのは、
息子のデビッドの愛おしさからだろうか。
生まれた時からアメリカで育ったデビッドと、韓国で暮らしてきたおばあちゃん。
アメリカに住む韓国人なのに、韓国の文化がやけに異物に感じるのは何故だろう。
デビッドと重ねて、私はこのおばあちゃんに理由の無い嫌悪感を感じていた。
通例通り、嫌悪感を感じさせるというのはだいたい役者の演技の巧さゆえだ。

主演のスティーブン・ユァンの、
細かな表情のシーンがとても好み。
ネタバレになるから書かないけど、
ある場面の受けの評価が凄かった。
いつか読み返した私も、この表現だけで、絶対覚えていると思う。
アカデミー賞作品賞候補は、わたしは『シカゴ7裁判』の方が好きだけど、
主演男優賞は彼が取ったら納得。

万人ウケの作品ではないかもしれないが、
綺麗で、丁寧な、家族の話。
試写会で観せていただきありがとうございました。

ータイトルの「ミナリ」は、韓国語で香味野菜のセリ(芹)。たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められているー
(HPより)
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