くう

ミナリのくうのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.7
そうか…「ミナリとは、そういう意味だったのか。おばあちゃんが持ってナリ」とは、そういう意味だったのか。おばあちゃんが持ってきた種。水を呼ぶ物語。

アメリカンドリームを求めて海を渡る若き夫妻の間に初めから隔たる壁。

大雨降って地固まる話である。もちろん、種があれば。

内容を知らずに見たので、大きな奇跡が起こる話なのかと勝手に思っていた。しかし淡々と家族の話は進む。

でも最終的にはこれも奇跡の話なのよね。人生はままならぬ、だけど強く生きていく。「手柄」は小さくてもいい。

他のユーザーの感想・評価

「ミナリ」TOHO日本橋で鑑賞。

夢を求め米国に移住した韓国系移民家族の日常を静かに描く。

農業という夢にしがみつく身勝手な夫。息子の心臓病を案じる妻、弟の面倒をみる長女、祖母に懐かない息子(監督の少年時代を投影)、強烈だがチャームのある祖母。

祖母の強さはやがて家族の逞しさに継承されていくのが素晴らしい

枯渇する水は終盤の展開を象徴するよう。

家族にはセリの如くアメリカの地に根を張る逞しさを感じるが、意見のまとまらないすれ違いのあの夫婦には未来や希望は感じられない。

雑魚寝する静かなカットでクローズしているが、彼らの運命の行方が非常に気になる。

アカデミー賞受賞候補の作品がこんな静かで地味なことに困惑する。
Fumi

Fumiの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「大草原の小さな家」とか「北の国から」の系譜で、A24のエッセンスを加えた作品という印象。派手さはないけど、貧しくも家族でささえあってく姿が描かれている。

ちょっとドラマ面が物足りなかったかなー。火事きっかけで、それまでの息子の気持ちがぐっと変わるんだけど、ほんとはもっと欲しいところ。北の国からも五郎の丸太小屋が火事になってたけど、濃いドラマがあったような。まぁ、双方はテイスト的に違うのかもだけど。製作担当のブラピの趣味なのかしら。

アカデミー助演女優賞にノミネートされている、ユンヨジョンさんがフィーチャーされてるけど、本作の中では確実にアクセントとなるキャラクターなんだけど、わたしとしては、ハン・イェリさんが光ってたと訴えたい。

このレビューはネタバレを含みます

移民大国のアメリカ人に、よりうける映画だなと思った。

出荷した日に今後について大喧嘩をしてしまいこのまま決別するかと思っていたら、燃え盛る小屋の野菜を、奥さんが夫に続いて必死に外に出そうとするシーンに心打たれた。
その後にダウジングで水の場所を見つけるシーンでは夫がずっと否定していた奥さんのスピリチュアルな部分を信じたんだなあ
と思って、当時の男性社会からお互いを尊重しあう大切さに気づき変化していく描写がすごく良かった。

A24×プランBということもあって、ゆったりとしたストーリーの進め方が「ムーンライト」に似てた。
個人的にはムーンライトの方が好きだけど、ミナリについての暗喩が多かったと思うし評価されている作品ということも納得です。

おばあちゃんオスカー取れるといいなあ
成功を収めようと自然の恵み豊かなアーカンソーへ引っ越してきた韓国系移民の家族。独断な夫と不満と不安で一杯な妻、そんな親を気遣う子どもたち、そして型破りで口は悪いけど憎めない祖母が彼らを繋ぐ。夫婦とは?家族とは?この映画を通して、簡単なようで難しい問題の答え合わせをしている気がした。
ミナリの意味を知るにつけ、土地に根差すことの大切さ、子を想う深い愛に心動かされた。

デビッドを演じた子役の子の演技とは思えない自然さ、祖母役のユン・ヨジュンと徐々に心通わせていくところがすごく良かった!

2021年劇場鑑賞18本目
Harucoon

Harucoonの感想・評価

3.7
この時世だからこそ1人でも多くの人に見てほしい、美しく強い家族の話。
噂のDavid役の男の子は勿論、アメリカンドリームを掴むために断固たる意志で畑仕事に励むお父さん、聡明で家族のことを第一に考えるお母さん、ファンキーで花札が大好きなおばあちゃん...(お姉ちゃんもうちょっとスポットライト当たって欲しかった)
それぞれのキャラクターが親近感・愛嬌があり、特にドラマチックな展開はないけど心が満たされる作品。
本年度アカデミー賞6部門ノミネート。
1980年代、農業で成功することを夢見てアーカンソーにやってきた韓国系移民の一家を描く。
ミナリとはセリの韓国語。様々な困難に直面しながらもたくましく生きる家族の姿が重なる。
悪ガキのようなおばあちゃんと孫の関係が良かった。
塩

塩の感想・評価

3.7
危険は目に見えてる方が怖くない、見えなくなった方が怖いのよって台詞がこの映画の全てだなと感じたけれど、他の方のレビュー見てるとそう書いてる方が多くてやっぱりそうだよなと思った。
息子の心境の機微や切り替えの描き方がとても丁寧で良かった。
何だかんだと言ってもおばあちゃんが一番マトモというか、家族の為に動いているのが皮肉。
喧嘩しながらも一緒に彼と観に行ったわたしにとっては夫婦の危機はちょっと気まずい展開に笑
それはさておき笑、お姉ちゃんも奥さんも旦那さんもみんなちゃんと良い人なので良かった。ポールが怪しい人なのかと思ったけど全然だった。
にしてもヒヨコの話はゾッとした。大きな起伏も特になくフラットに観ていたけどこう考えると結構良かったな。
ひざ

ひざの感想・評価

4.5
きれいなお話でした。淡々と家族のリアルが映し出され、山場はラスト付近まで特にないですが結構没入できたと思います。小屋バーニングシーンは2人と一緒になって泣いちゃったよ、、
悪い人が誰も出てこないのがよかったと思います。でも誰が悪いとかじゃないってことは何か悪いことが起きても責める対象がないので、行き場をなくしたやるせなさを抱えなければいけないってことであり…それを乗り越えながら、時には韓国人でもアメリカ人でもないような窮屈さも感じつつこの家族はこれからもこの地で生きていくのかなあと胸をキュッと締め付けられるような感じがしました。おばあちゃんのミナリが癒しになってくれるのかなあ、、おばあちゃん戦犯じゃねーかとか思ってごめん

一寸先は闇みたいな状態がずっと続いてるような気がしてちょっとキツかったです。私はモニカに感情移入してたかなって感じでしたが登場人物の誰の目線で観るかで物語そのものの受け取り方が変わってくると思います。
鑑賞後に感じた切ないながらもどこか温かな余韻にA24らしさがあるなーと思いました。ただ、アカデミー賞作品賞獲ると思う?と聞かれると自信を持ってはいと答えられないかもしれない。。でも私は好きです。とても素敵な作品でした。
Sasada

Sasadaの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

花束の麦くんよろしく、これはこれで世間が求める「男らしさ」「夫らしさ」の呪縛に取り憑かれた男の物語。

あちらのカップルは行くとこまで行ってしまったけれどこちらの割とソフトな着地も好きでした。

孫と心を通わせ、息子夫婦を結果的に導くおばあちゃんがまるで天使のようで。
普通に考えれば不幸でしかないであろう火事を、夫婦の再構築のはじまりに位置付けるフレッシュな脚本が素晴らしいです。

途中まではほんわかゆるやかコメディかと思ってましたが、最後20分で怒涛の回収。そらオスカーノミネートされるわなって感じでした。
400

400の感想・評価

-
2021.3.19
上田 東宝

ただのヒューマンドラマにしては何かが伝わってこないような気がしたのが、観賞後に解説を読んで聖書に関係しているとわかって納得した。

聖書読んでないとわからない作品が多いので読んでみる。
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くうさんが書いた他の作品のレビュー

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3.5

趣里さん、伊藤 蘭さんによく似ているって、今回初めて思った。

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スピルバーグ監督を作り上げた血筋、家族の物語。


それにし
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