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ミナリのmiumiuのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.7
韓国系移民で、アメリカ式の大農場での成功を夢見るジェイコブを中心とした家族のストーリー。

監督自身の体験をもとにしている、とどこかで見た気がするけど(パンフレット読んでないから曖昧)監督=幼い長男のデヴィッドなのかな。
農場の話ということで、アメリカの自然を写す映像はとても美しく素晴らしい。
映像の美しさと言えば、スタジオA24作品でもあった。
そしてブラッド・ピットの製作会社プランB作品。


「ミナリ=セリ」
逞しく根を張り育つセリが、めげずに生きる家族や人間のメタファーになっているのだろうか。

メインキャストは韓国系俳優だけど、アメリカを感じる映画だった。
新天地での成功を求める様はまさにアメリカン・ドリーム。
個々のキャストの演技も素晴らしい。(アカデミー賞ノミネート納得!)
事前情報では「淡々と家族を描く話」と聞いていたけれど、事件や物語的な見せ場も思った以上に多かった。

にも関わらず、私はあんまり好きになれない作品だったんだよな…
視点をどこに置くか、誰に感情移入して観るかで、好き嫌いが分かれそう。
私は「おばあちゃんらしいおばあちゃん」を求めて祖母になかなか懐かないデヴィッドに、嫌悪感を抱いてしまった。
そして、後半ある出来事をきっかけにまさに「おばあちゃんらしい」老人になった祖母にデヴィッドが寄り添う場面は、見ようによっては感動的ながら「は? 何様?」という感じ。

妻の訴えを夫のジェイコブがなかなか聞かない場面とか、「何様だよ」なシーンは他にもあれこれあり。
「強くあろうとする男」と「健気に支える女(本人が望んでいなくても、そうならざるを得ない)」の図式が年齢世代問わず繰り返し描かれていて、それが私には合わなかったのかもな。

でも「家族モノ」という感動を作りやすいジャンルで、いろんな感想が生まれる作りにしている(感動を押しつけない、感動に誘導しない)のはある意味すごいと思った。
もちろん私と違って、素直に感動している人もいるだろうし。
もし意図的にやっているのだとしたらさらにすごい。その辺どうなのか、気になるところ。
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