Smoky

ミナリのSmokyのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
4.5
韓国系移民家族の物語(80年代の韓国の事情を考えると移民は多かったのかも)。成功を夢見てカリフォルニアからアーカンソーのド田舎に家族を連れて新しい生活を始めてご満悦の父親、あまり乗り気でない母親、直ぐに環境に順応する純粋な子供たち、自然災害や頼りにしていた人の裏切り、苦労して育てた農作物が納屋と共に焼失するところまで、凄い既視感があると思ったら…コレ、完全に『北の国から』じゃないか(笑)但し、父親役を演じるスティーブ・ユアンは、田中邦衛でなはく萩原聖人似。
 
去年のアカデミー賞で話題となった本作は、コロナ禍と同時に米国や世界で起こったアジア系に対するヘイトクライムへのカウンターという「ポリコレ的要素」もあったろうけれど、他方で「米国を築いた名も無き沢山の移民たちの物語」という普遍性が評価されたのだと思う。
 
移民の物語なのに、自分の子供時代の記憶を思い出させる映像も沢山あって驚いた。父親の転勤で引っ越した社宅での初日に家族で雑魚寝したこと、添い寝で抱きしめてくれた祖母のザラッとした腕の感覚…。コレは、監督が自分と同世代のアジア系だからなのかもしれない。
 
過剰な演出もなく、テンポもゆったりで、物語は起伏も少なく淡々と進むけれど、何気ないカットや表情に込められた情報量の多さや、伏線回収の見事さは、優れた映画であることの証明。

そうだ、俺たちには「ミナリ」があるのだ…。
 
さすがは安定の『PLAN B』印。ブラピ 、今回もありがとう!
Smoky

Smoky