かすとり体力

MINAMATAーミナマターのかすとり体力のレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
3.8
水俣病の存在を世に知らしめた写真家ユージン・スミスと妻アイリーンの伝記ドラマ。

私、水俣病に関しては石牟礼道子の名著『苦海浄土』を読んでいたので概要は把握。
しかし、ユージン・スミスのことは本作で初めて知った、という鑑賞ステータス。
(九州在住ということで、本事案についてはなかなかの思い入れもあり)

まず最初の印象として、もっとドキュメンタリータッチな作品かと思っていたら、がっつりドラマ仕立てのストーリーテリングな作品。
その結果、予想よりはるかに「見やすくて面白い」(不謹慎な表現であることは認識しているが)作品で、事前に結構な「テーマ的重さ」を覚悟していた私としては、若干の肩透かしをくらったような感覚に。(これは完全に私の問題)

これ、私はネガティブな表現で語っちゃったけど、「なんか重くて暗そうだな〜」と思って敬遠している方がいれば、ほとんどそんなことないのでぜひ見て欲しい。

ストーリーテリングの手際も良いし、キャラクターも上手にカリカチュアされて魅力的です。
(つまりドラマ作品として純粋にちゃんと出来ている)

まぁそれの裏返しが上述の「一種の軽さ」にも繋がっちゃうんだけど(私が『苦海浄土』という劇薬を飲んでいるせいもあるか・・・)、それでも最後の「例の写真」を撮影するシーン、この神々しさには本当に「言葉を失った」。

このシーンだけでも「人類が進歩する上で犯した過ちは、人類全員が認識し、同じ過ちを繰り返さぬようにしていかなければならない」という、当映画の本質的なテーマに自然と思いを馳せることになった始末。

また、超絶各論だけど、名演を魅せる俳優陣の中で、アイリーンを演じた「美波」氏の一際の輝きよ。

純粋に美しすぎんか…。この方…。
(最近女性俳優を取り上げて「美し過ぎる…」とコメントする機会が増えているような気もするが、これぞ『老い』というものなのだろうか…)

あと、本作の水俣シーンが撮影されたのがバルカン半島のモンテネグロだと知って衝撃!
完全に日本と思ってました。。

以上。
テーマ的には多くの方に見て欲しい作品。
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