slow

ディナー・イン・アメリカのslowのレビュー・感想・評価

ディナー・イン・アメリカ(2020年製作の映画)
4.4
ああ、この人も、あの人も、自分とは全く違う基準で、同じ物事を考えているのに、たどり着いた全く違う解釈を、さも同じこととして押し黙らせる雰囲気と、時間が擦り合わせて行くのを生温く笑って、それっぽく場が収束して行く感じを、毎日、毎日、受け入れて、受け入れ慣れて、当たり前の了解が、またひとつ増えて、またひとつ忘れて、信じるに値するものを逆算して得ようとすればするほど、理想は現実から遠去かってしまうから、わたしはせめてありのままを愛したく思い、毎夜毎夜、踊っていたんだよ。

これは食事中や、家族と観るタイプの映画ではないのかもしれない。アナーキック・ラブストーリー?なるほど。『トゥルー・ロマンス』ほどピュアでバイオレンスでもないし、『ナポレオン・ダイナマイト』ほどゆるくもギャグに走ってもいない。でも、そういうトキメキやクスクスを確かに感じた。特別斬新であるとか、真新しさのある物語でもないはずなのに、不思議な余韻。キャストの妙もあったかな。パンクとは何かもよくわかっていないけれど、最高にパンクだったよ。
slow

slow