ヴレア

あの頃。のヴレアのレビュー・感想・評価

あの頃。(2021年製作の映画)
3.8
今泉監督作品と言えば一方通行の恋愛や群像劇というのが特徴だが、本作はアイドルに恋する人々の群像劇であるのでまさに究極の一方通行な恋愛ドラマと言えるのではないか。そして、コメディとしてもかなり笑える作品だった。

冒頭、アパートの自室に帰ってきた松坂桃李が虚ろな目で弁当を黙々と食べながら友達に貸してもらったDVDを再生する。目に飛び込んで来たのは松浦亜弥のミュージックビデオだった。一瞬で目は輝き、やがて涙する。なんとも象徴的なこのシーンに、アイドルオタク誕生の瞬間を見た。そして、おもむろに家から飛び出し、自転車で走る走る走る!CDショップへ全力ダッシュだ!もちろんあややのCDを買う為。そしてそこで、やがて仲間となる人との運命的な出会いを果たすのだった。今だったらCDショップなんぞ行かなくても家でネットでDLだろうか?しかし、青春の物語は家から出なくちゃ始まらないのだ。
そんな彼が飛び込んだのはハロプロのオタク達が夜な夜なトークイベントを繰り広げる怪しげな集団だった。
とにかく、その個性的な面々のオタク的な熱量にまず圧倒される。いい大人が大真面目に馬鹿馬鹿しい事をやる清々しさみたいな。
特に大学の学祭に呼ばれた彼らの場違い感が半端なくて、それはそれは痛々しいものだった。しかし、彼らの本気で取り組む姿は実に楽しそうだったし、こんな青春がずっと続けば素晴らしいだろうなと思った。
しかし、それらはいずれ確実に終焉を迎えるものであり、そこに至るまでの儚さみたいなものも感じられて、感慨深い気持ちにさせられた。