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あの頃。のboringmanのレビュー・感想・評価

あの頃。(2021年製作の映画)
4.5
良い映画だった。。。
出会いと別れや成長を描いた青春映画なんだけど、それだけじゃない複雑なニュアンスがある映画だと思いました。カルチャーとしてのアイドル、音楽、恋愛、東京という街に住む事、SNS、考えすぎかもしれませんが、この映画見て色々考えちゃいました。過去作から察するに、これが今泉力也の作家性ですね。

映画を通して、劔樹人というキャラクターの成長に重きを置いているのですが、キャラクターの成長を"ベース"の音で表現するとは流石ですね。映画序盤のベース音はノイズ混じりでベースが下手くそなのですが、映画が進むにつれてベースの音がしっかりとしていき、最後にはプロに混じって演奏するという素晴らしい表現方法だなと感嘆しました。

個人的にコズミンというキャラクターが現在の地獄みたいなSNSそのものを表しているキャラクターに思えた。プライドが高く、当たり散らす所は、Twitterでよく見かける人だなと。
映画中盤にコズミンに癌が発覚するシーンでmono no awareの"東京"という曲を歌っているのですが「みんなが皆んな幸せになる方法はない」っていう一節があまりにも残酷すぎて。。。

滅茶苦茶個人的なことなのですが、近々東京への異動が決まっており、現住所から移住する事に凄く不安になっていたのですが、この映画に出てくる劔樹人の心境にも重なって、頑張ろうというか、なんとかなるよねという気持ちになりました。(多分今泉力也監督の意図ではないと思います)
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