3Dメガネ

おらおらでひとりいぐもの3Dメガネのレビュー・感想・評価

おらおらでひとりいぐも(2020年製作の映画)
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『おらおらでひとりいぐも』
公開中!!!!


【人生の地層】
旦那さんが他界し、子供が家庭を持つようになり
仕事もなく一人で過ごすようになった高齢者のお話。
毎日が繰り返される日々で、やらないといけないことは少ない。
自分の意思で、自分の時間配分で
自由に生きられる。誰からも邪魔されることなく。
自由の代償として、寂しさと空虚が押し寄せる。
これまでの人生は何の為にあったのだろうか。
孤独になるために、生きてきたのだろうか。
決してそうではない。
人の人生は積み重なる。
出会った人、過ごしてきた時間。
現在紡いできた関係には、歴史があり
今の自分を形作っている。
一人で生きていくにしても、個人的な地層を背負って
前に進んでいくのだから。
また新しい地層を蓄積するために、歩みだせばいい。
1日1日は無駄で凡庸に見えて、そうではない。
その人の歴史の一部である。


【表現】
孤独の寂しさを埋め合わせるため、イマジナリーフレンドを
脳内で作成したり、過去の自分と対話する場面が描かれます。
これらは決まって一人の時間に現れ、他者と会話する際には
姿を現しません。また何かに夢中になっている時にも
姿を表しません。
今回の場合は1日の中で訪れる寂しい瞬間にそれらはやってきます。
一人で生きる対処法として、孤独を紛らわせる
防衛本能のように出現します。
現実では無いものを、妄想にて意味をつけ加えることができる能力。
これは人間特有の能力に他なりません。
だからこそ進化過程を描いてたと思います。
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【評価】
『南極料理人』、『横道世之介』などの沖田修一監督の作品です。
日常の中に発見があって、変化があって
歳を重ねることの味わいを
日々を生きて重ねる愛おしさを
映画の世界で堪能いただける作品です。
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