けーな

エイブのキッチンストーリーのけーなのレビュー・感想・評価

3.2
キッチンストーリーというので、台所や料理がもっとたくさん映し出されて、それを観ていたら、ヨダレが出てきちゃうようなワクワクする映画かと想像していたけれども、根深い宗教の問題と家族の対立を扱った、深刻な要素もある映画だった。と言っても、難しくはないので、楽に観ることができるし、料理が出てくるシーンも、もちろんある。

エイブは、ニューヨークのブルックリンに住んでいて、感謝祭などの祝祭日の時は、父方と母方の祖父母達を交えて食事をするが、彼らは、いつも言い争いをする。何故なら、父方の祖父母は、イスラム教、母方の祖父母は、ユダヤ教だから。食べる物も風習も大きく異なるので、一緒に食事をすることが、そもそも難しいのに、それぞれが、自分の信念を曲げないだけでなく、相手を非難して攻撃ばかり。しかも、お互いの可愛い孫エイブを自分の宗派にさせようと躍起になって、喧嘩ばかりする。

祖父母達も、両親も、エイブのことを、考えていなさ過ぎて、観ていて辛かった。エイブが料理中に出て行ったことにさえ気づかないなんて。

そもそも、料理のキャンプが幼児対象で、エイブには向いていないということをエイブが、両親に話せないってことも問題だし、その後、チコの店に行っていることを両親に話せなかったことも、問題だ。いずれにしても、両親が、エイブの気持ちを理解しようとしてなくて、イラついてしまった。

しかし、ゆるい宗教観を持つ日本人とって、彼らの信仰心を完全に理解することは、なかなか難しいので、簡単に批判してもいけないとは思う。

ブラジル人シェフのチコが、5つの味があるという説明をする時に、「旨味」のことをそのまま「umami」と言ったから、驚いた。
けーな

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