YasujiOshiba

トゥモロー・ウォーのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

トゥモロー・ウォー(2021年製作の映画)
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アマプラ。Covid-19 の影響で公開されずにアマゾンに買い取られたとのこと。映画館としては残念だと思う。でも配信をすぐに楽しめたのは悪くない。土曜の夜の娯楽にはぴったりで、明日は朝早くからバイトのなぎちゃんも面白そうだと参戦。わいわい楽しめました。

クリス・プラットが出てくるとガーディアンズ・オブなんちゃらとか、なんちゃらワールド」を思い出してしまうのだけど、コンセプトがどこか『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)を思い出させる。そういえばあの原題は「明日の淵 Edge of Tomorrow」だったけど、こっちは「明日の戦争 The tomorrow war 」なんだよね。

登場するまでドキドキさせてくれたエイリアンは、登場するや一気に地球全体を制圧するようなノリは『ワールド・ウォーZ』(2013)のようだし、クリーチャーのおぞましさとスピード感と知性は『クワイエット・プレイス』(2018)と『プレデター』(1987)が合体したような感じで、氷の世界に閉ざされていた宇宙船のくだりは当然のように『エイリアン』(1979)のシリーズへのオマージュなんだろうな。

新しいアイデアはほとんどなかったかな。クリス・プラットが出ている時点でそれは予想できたよね。でもそれでいいんだよ。予想できる展開でそれなりの物語を仕上げてきて、かなり強引だけど時空を超えて最後まで引っ張ってゆくのは大切。娯楽作品だからね。野暮は言わない。

ちょっと笑えたのはPTSDの笑い飛ばし方。ベトナム戦争でのPTSD体験者を演じた J・K・シモンズ が、みごとに嫌われる親父象の依代になっている。だってこの人『セッション』(2014)で筋肉ムキムキで頭を剃り上げた音楽院の鬼教官をやった人じゃんね。その顔で、とても帰還してから「闇を彷徨っていたんだ」なんてセリフを言われても、嘘だろとおもっちゃうじゃんか。

ところが、それが狙い目だったんだな。今ではすっかり元気になって、愛想を尽かされた息子と仲直りしようというのは、おそらくアメリカ的な願望なのだろう。だからクリス・プラットが、その顔で、帰還兵のオヤジを憎んでるなんて設定も嘘みたいなもので、表層的。表層的だから、安心してひっくり返すことができるというわけ。

この映画のポイントはそのあたりにあるんだろうな。なんでアメリカばっかり戦争して、心を病まなければならないんだ、英雄にはなれないのかよっていう鬱憤ばらしに、宇宙最強のエイリアンを登場させて人類を滅亡の淵にまで追い込んでみせようってわけ。

そこにクリス・プラットが登場すれば、ハッピーエンドは約束されたようなものだから、安心して観てられるよね。実際、楽しかったし。アメリカさんの娯楽精神に、ともかくも拍手。その裏にあるものの大きさは、もちろんあるのだけれど、今日はまあ、クリスくんに免じて、よしとしておこう。
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