kissenger800

トゥモロー・ウォーのkissenger800のレビュー・感想・評価

トゥモロー・ウォー(2021年製作の映画)
-
大型連休が終わってしまうサザエさん症候群の対処療法を探してなぜかここに辿り着いてしまった俺! あきらかな選択ミス!

冒頭スカイダンス・メディアって製作会社の名前が出るじゃないですか。
トム・クルーズのエゴを満足させるためのフランチャイズに堕してしまったM:Iシリーズにガンガン金を突っ込んでいるテンセント系のスタジオで、その瞬間、あー、やってもたー。って顔に。
あのね、彼らが下手なうちはいいの、雑な設定で雑なストーリーテリングで、要はスター俳優が派手に動いて愛国心とか家族愛を刺激するプロットでさえあれば映画なんてヒットするんだろ。
ぐらいの解像度で事業を展開してくれているうちは、俺たちの心は1mmも動かないから。

だけどそろそろ10年近くハリウッドのノウハウを吸収してきて、だいぶんこなれてきたな。ぐらいの印象じゃないですか今作。
君は昨日『エイリアン』(1979)見たのかな? ぐらいの借り物設定とか、あーそこは主役俳優の義父俳優をニオワせるジャストな台詞を言わせないと。とか、「惜しい」ところはまだまだあるんですが、繰り返すけどだいぶん芯に近づいてきてるよ。

もちろん出資企業の国籍をどうこう言う気はなく(=個人の信条にかかるポイントなので念を押したい)民主主義に対するアンチテーゼとしての帝国主義/全体主義を危惧している、極く個人的な感想ですよ?
でもね、何が怖いってわれわれは自分たちが思うほどカシコイ存在じゃないんです。独裁に傾倒するような政治家・政党に票を入れてしまう民主主義の脆弱性は21世紀の世界が現に示している通りじゃないですか。
そのプロパガンダに映画がなり得るってことは、ハリウッドが身をもって証明してきたわけで、だからこの物語がスルーしている「民主主義的プロセスをすっ飛ばして大義名分のための動員」とか「説明が尽くされないまま自己犠牲を美化する空気」とか、キナ臭いんですよ。今はまだ、気のせいで済むけれど。
……とか言ってられるのはおまえが住んでいるのがウクライナでもロシアでもないからだけどな。分かってんのかクリプラ(=やつあたり)。

--
ウクライナの「根こそぎ動員」兵士の数はMAXどこまで増やせるか 大戦中の日本は?
(乗りものニュース 2022/3/18)
--
訓練なく2週間で戦死 予備役「無言の帰郷」―ロシア
(時事通信2022/10/15)
--

それこそちょっと前なら世界を救うのは中国インテリジェンスだ、みたいなプロットになって失笑を買っていたところ、あえてロシアを微妙な役割で表に立たせるとか、うわー学習してんなー。
っておいまたそんな面倒な感想になっちまってるよ俺! もっとシンプルに明日からの労働意欲が湧くような作品は無いの! バカ映画を! バカ映画をよこせ!
kissenger800

kissenger800