さすらいの雑魚

トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャングのさすらいの雑魚のレビュー・感想・評価

3.9
叛逆者ネッド・ケリーは
Such is life...OR...I suppose it had to come to this(「人生ってそういうものさ。ああ、こうなるってわかっていたよ」)←wikiより♪と言い残し傲然と処刑台にあがり伝説的な生涯を終えた。
我が国の松陰先生は義士の墓前に額ずき、
かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂。
と詠って崛起を決意したとか。
身分教養など関係なくパンクスの魂は相似し、硬派の宿命もまた相似するのだろうか。
偉大な者や美しい人は死に絶え、ゴミ溜めの蛆虫と糞袋だけが生き残り歴史を語るのなら、糞袋と蛆虫の混血卑種ごときが真実の歴史などと何をわかったつもりかと泉下の英雄豪傑達に憫笑されそうな気がしたのはここだけの話(^_^;)

とは言え本作は素晴らしい。
雄大な大地を覆う不穏で不気味な森を疾駆する馬賊は華やかなドレスをまとう。不毛だが美しい辺境の荒野で生きる貧しい家族。魅惑的な毒母のと共依存関係は近親相姦的なの雰囲気を漂わせながら少年の人生を絡め取り知れきった破滅へと誘う。
圧倒的に美しく壮大な画で、あまりに不実で目を背けたくなるほどに不健全な英雄伝説が物語られると、背けたいハズのボクの眼はスクリーンに釘づけなのだ。
真実の歴史ってよりもアナザーヒストリーと言うべきかと思うのですが、これはコレで美しい物語ではあると思う。

アリナシで言えば圧倒的にアリな傑作ですよ。