Adele

トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャングのAdeleのレビュー・感想・評価

1.8
まず、正直、推しのジョージ・マカイ目的で観たと言っても過言ではない本作
いい意味で裏切られた
鑑賞後、すごい疲れ、疲労感…

オープニングから不快だし、観ている途中から、ものすごい圧迫感だし、息苦しい…
それなのにあっという間の2時間超えだったし、息つく暇もなし、気づいたら終わっていて、鑑賞後の何もできない、考えられない、思考が止まってしまう放心状態がすごかった…

きっと、史実とはかけ離れたり、違う描写もあっただろうと思う
ネッドの生きてきた環境や人生、経験は過酷という言葉では言い表せないくらいすざましく、残酷…

史上最強の毒親、特に、毒母
それでも、子供は親に絶対的な愛情を求め、間違っていないと一生思ってしまう
ネッドと母親の絆は最強だ
第三者はどうしてこんな親を?と思うけれど、ネッドと母親にしかわからない、分かり合えない、第三者には到底理解できない2人の強烈な想いと世界観
ネッドと母親は誰よりも強い絆で結ばれている
きっと、メアリーですら近づけない、壊すことのできない愛情、世界観

まず、何よりも本作の素晴らしさはキャスティングだと思う
ミスキャストなしだと個人的には思った

主演のジョージ・マカイはもちろん、個人的にはニコラス・ホルトの胸糞具合がすざましかったし、何よりもラッセル・クロウの安定した演技と只ならぬ存在感がすごかった!
ラッセル・クロウの出演はそんなに多くはないが、すざましいインパクトで脳裏から離れない
そして、毒母役のエシー・ディヴィス
もう、言うことなしの完璧な毒母で本当に素晴らしかった

また、カメラワークと脚本も本当に素晴らしく、無駄なく完璧
オーストラリアの自然の捉え方、美しさも素晴らしいし、何よりもラスト、ネッドから本当に本当に少しずつ引いていくカメラワークは鳥肌ものだ…
また、その引いていくカメラワークと共にネッドが子供に向けた手紙の言葉が心に突き刺さる

音楽もよかった
無駄に流さずに、まさにその時のネッドの心境を表現していた

ネッドがお金持ちの子を川から助け出し、その夫人がネッドを寮に入れて、学問を学ばせては?と提案した時
あの時、ネッドが入寮し、勤勉に学問を学んでいれば、別の人生を歩んでいただろうと心から思う
ラストの作家の具合を見ても、いかに教養、学問が大事かを痛烈に教えてくれたラストでもある

主演のジョージ・マカイにも盛大な拍手を送りたいと思う
推しだという事実を差し置いても、本当に素晴らしい演技だった
特に後半、遂に錯覚し、狂気に目覚め落ちていく表情や目の演技が素晴らしく、狂気そのものだった
本人も辛い撮影だったと話していた通り、その辛さは観客にも伝わったと思う

決して、楽しくなんかないし、万人ウケはしない
観る人によっては鑑賞後、後悔するかもしれない作品
暗く、重苦しく、不快で息苦しい圧迫感
しかしながら、娯楽映画ではなく、19世紀、警察からの不正、世界への不満を自らの立場に置いて観てみると不思議と共感でき、不快感なんて消えてしまうのだ
自分は今作を万人ウケしない芸術作品だと思っている

ジャスティン・カーゼル監督作品、マクベスやアサシンクリードを鑑賞済の方なら、あの世界観がわかると思う
あの2作に好意的な方は本作も受け入れられると思う

素晴らしい作品を観たというよりも、すざましい作品を観たという気持ちになります
Adele

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