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勝手に逃げろ/人生のpikaのレビュー・感想・評価

勝手に逃げろ/人生(1980年製作の映画)
3.0
ゴダールを見ると疲れるし、面白さの概念が他の映画作品とは違うところにある印象が強く、見る姿勢が問われると言うのか、こちらから能動的に歩み寄らなければ楽しめないような、でもそうは言っても理解や解釈をすることが正しいとも言い切れないような、確かに比類するもののない斬新な映画ではあるけれどもだからこそ疲れるってのが前提にあって苦手意識が強いんだが、もうそういうの抜きにして浴びるがまんま見ればいいんじゃないかと見ていたらスルスル見れた。
この商業復帰作以降の色彩は好みで、牧草地だったり爽快なサイクリングシーンだったり風景や疾走感など、内容と対を成すような対比的な映像構成が魅力的だし、一番目を引くストップモーションの多用は単純に面白い。
ただラストの示唆で開放されるとは言えそこに行くまでのアプローチそのものが気持ち悪い。
何もそういうアプローチじゃなくてもいいんじゃないかと思ってしまうところに相性の悪さがあるのか。
人間の性活と生活の結びつけや、欲望という感情とその対象への執着はイコールでないという心理、映像と音は同時に存在しているべきという概念をズラすことで暗に表現する人生と映画のリンクなど、何となくわかったようなわからんような、わかることが映画の楽しみではないにせよ単純に面白いとは言えない難解さはあるし、やっぱりどこをどう楽しんで魅力として味わえばいいのかよくわからなかった。
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