ももいろりんご

モロッコ、彼女たちの朝のももいろりんごのレビュー・感想・評価

モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)
3.3
舞台がモロッコの旧市街で、エキゾチックかつ絵画のような世界に惹かれて観てきました!
.
夫と死別し女ひとりで娘のワルダとの生活を守ってきたパン屋のアブラ。お腹が大きいにも関わらず、仕事と住む場所を求めて町をさまよう若い女・サミア。路上で休んでいたサミアをアブラが「一晩だけ」と家に招き入れます。
アブラがものすごく頑なで、厳しい。ニコリともしない。でもサミアを放って置けないのは自分も1人で娘を育てているから。娘のワルダにも、ちゃんとした教育を与えて育てようとしている様子が伺える。
そして、モロッコでは未婚の母に対する風当たりが強いのが次第にわかってくる。(後から知りましたが、モロッコでは婚外交渉と中絶が違法。あぁ…やっぱり💧)サミアが冒頭、町をさまようシーンは、イスラーム社会での制裁の現れ、女性・妊婦への厳しい差別の現状だったわけです。
.
娘と店を守るため心を閉ざしていたアブラに、パン作りが得意で元美容師、おしゃれなサミアとの化学反応。孤独だった親子の生活は明るくなり、パン屋も繁盛します。そして、町が祭りで賑わう中、サミアに陣痛が…。
「この子に罪はない。こんな母親のそばにいるより、養子に出し、愛してくれる両親のもとで育ててもらう。自分は実家に帰り、全て忘れて結婚するわ。」サミアの決意に対し、アブラは「よく考えなさい」と諭し続けます。
.
映画は、ナレーションや解説めいたキャプションもなく、言葉少ない会話で進行。びっくりするほど2人は馴れ合わない。だからいいのかな。厳しい逆境でも覚悟をもって生きる女たち。
アブラがまったく笑わないんだけど、めちゃ、美人!
少しとっつきにくい内容てすが、カサブランカの町に、人々の生活。日本とは全く違う世界だけど、美味しいパンはみんな大好き。人の生活は変わらない。ちょっとした旅行気分になれます。
.
.
オマケの話
町に共同で使えるパン焼き窯があるんですよ。店のオーブンが壊れてサミアがパン生地持って外に焼きにいくの。おもしろい〜
日本だと炊飯器が壊れて共同のキッチンに行くなんてないけど、温泉地で野菜蒸したり、水場で料理できたりみたいな?
ものすごく行ってみたい!カサブランカ♡