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モロッコ、彼女たちの朝のmityのレビュー・感想・評価

モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)
3.5
なかなか観ることのないモロッコの映画。パン屋ひとつとっても異国情緒漂っていて、未知の国の文化はとても興味深かった。

女性の権利が強く制限されているモロッコ。アブラが話した夫を亡くした時のことからも、ワルダに対する教育熱心なところからも、それが伝わってきたし、「ふしだらな女が妊娠したからって何だっていうの」サミアに掛けられたこの言葉には、何て生き辛い社会なんだろうと思わずにいられなかった。この言葉に含まれる偏見が、産まれてくる子どもにも向けられるのかと思うと、サミアの苦悩がヒシヒシと伝わってきた。

子どものことで頑なさを持っているサミアも根っこでは明るく、アブラがサミアに手を差し伸べたことをきっかけに、アブラもまたサミアに救われていく様子が良かったな。心の凝りが溶けて、メイクをするようになったアブラの変化に嬉しそうな表情のサミアと、ちょっと恥ずかしそうなアブラが可愛かった。
そうそう、アイラインの引き方が、私が知っているものとは違っていて驚いた。あれで何で綺麗に引けるんだろう・・・眼に刺さらないのかなってちょっとドキドキしたよ。

未婚の妊婦である事実は変えられないし、お腹の中で成長する子どもも待ってはくれない。サミアが我が子を前に揺れ動き、そして決断したラストに、困難に立ち向かう強さと、その決意をそっと後押しするかのような優しさが感じられて、ふたりのこれからに光が差すと良いなと思いながら観終えた。


#81_2021
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