シャマラン作品のように他人には理解できない何かに取り付かれた人間を優しい視点で見つめた話自体はとても好きだし、凛とした佇まいのノエミ・メルランもやはり魅力的。しかし、主人公の疎外感を強調するような心理状態を表した演出の数々は説明的に映った。ピン送りで回りをぼやかして音響を歪ませたり、主人公が一人で観覧車に語りかけるシーンにわざわざ観覧車そのもののカットを入れたりと。もう少し被写体を信頼したさりげない演出でも十分に孤独さは描けたと思う。また、終盤の展開から考えるとサイドキャラクターは明らかに描きこみ不足であまりにも寓話的に語る事を意識し過ぎてあざとくなってしまっているように感じた。とくに母親の新しい夫の描写はもっと掘り下げるべき。