みかん

恋する遊園地のみかんのレビュー・感想・評価

恋する遊園地(2020年製作の映画)
3.4
この邦題だとキラキラ青春映画のよう。内容は「アトラクションに恋して」。建物など物に恋愛感情を抱き、性的に惹きつけられる「対物性愛」の女性が主人公。彼女は夜間清掃員として働く遊園地に新しくやって来たアトラクション「MOVE IT」に一目惚れしてしまう。
この主人公を演じるのが「燃ゆる女の肖像」で画家を演じていたノエミ・メルラン。大の人見知り(少し男性恐怖症も?)で、人前では硬い表情と仕草、愛するアトラクションの前ではうっとりと奔放な恋する乙女な演技は流石としか。
脱ぎっぷりも最高で美乳を惜しげも無く晒し、ジャンボと名付けたアトラクションに絡みつきながら愛を囁いたり、機械油まみれになりながらのSEXシーンなど何とも官能的。ジャンボも彼女の呼びかけに応じて電飾を精一杯点滅させて愛を表現する。なんだか可愛い。
でも周りは理解してくれない。おかしいから医者へ行って治療しなさいと母に詰られる。意を決して人間の男と交わってみても自分を傷つけるだけ。LGBTなどは理解が広がって来ているように思うけれど、相手が物の場合はまだまだ異常者扱い。
セクシャル・マイノリティーを主軸にしながら、母娘の関係性を描いた映画でもある。観ている者の感情をとにかく揺さぶる生々しさがあった。
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