剣の舞 我が心の旋律の作品情報・感想・評価・動画配信 - 4ページ目

「剣の舞 我が心の旋律」に投稿された感想・評価

 どうにも盛り上がりに欠ける作品で、登場人物の誰にも感情移入できなかった。主人公はとても落ち着いた紳士で安心感があるのはいいのだが、その内面にある苦悩が上手く描かれていないので、物語が空回りしてしまう。映画自体があまり熟れていないのだ。
 普通に起承転結のストーリーにすれば主人公に生い立ちも含めて感情移入できただろうと思うし、剣の舞の作曲と初演奏に向けて盛り上がった筈だ。過去と現在の行ったり来たりが判りづらく、ひねり過ぎの感がある。
 演出家は音楽の経験がないのか、俳優が演奏するシーンで違和感があった。一流の演奏家は演奏する姿も美しい。プロゴルファーのスイングが美しかったり、プロテニスプレイヤーがどんな態勢でも基本のフォームで打ち返すのと同じである。ショスタコーヴィチはバイオリンを上手に弾くことは出来なかったとは思うが、それでもあれほど不格好にヴィオラを演奏することはない。ハチャトリアンのチェロ演奏もぎこちなさ満載で、このシーンは本当にがっかりした。

 好意的に解釈すれば本作品は次のようにも受け取れる。
 アルメニア出身のハチャトリアンは幼い頃に母から豊かな愛情を受けて育ったので、温厚で慈悲深い人格者となった。思索するのに言葉ではなく音で考えると言うほど音楽にのめり込んでいる。作曲は楽器を使わず頭の中に響く音を直接楽譜に載せる。列車の音は彼にとって別れの音だし、父の思い出は親しみのある声とともに彼の心のなかに生きている。
 ふるさとの美しい山々はそれ自体が音楽であり懐かしい拠り所だ。出身地であるアルメニアとアルメニア人の受けた迫害を忘れずに曲のテーマにしていきたいと思っている。剣の舞は戦争を鼓舞するのではなく、悲しみの舞だったのだ。一方で愛国者には理解を示し、出征する兵士に無理をしてバレエを見せる。流石に踊りのシーンはとても美しいが、兵士たちの頭の中には早くも戦場の残忍な音が響き始めている。
 ハチャトリアンは人々が悪意を傍観することがファシズムを生んだと考えており、その洞察力は政治から人間関係にまで及ぶ。サックス吹きの悲劇は政権の威を借りた小役人プシュコフの悪知恵によるものだ。プシュコフはかつて主人公とともに音楽を学んだ仲だが、アルメニアの悲劇を軽んじる彼にハチャトリアンは一度だけ怒りを爆発させたことがある。音楽の才がなかったプシュコフはその後権力の側に立ってハチャトリアンの前に登場した。復讐だろうか。
 プシュコフが公演を許可しなければ劇団の存続にも影響があり、プリマのサーシャは憎むべき小役人の慰みものとなる。権力を笠に着てスターリニズムを大義名分にやりたい放題のプシュコフに不快感を感じながらも、主人公にできることは作曲をすることだけだ。そしてハチャトリアンは公演を成功させるために渾身の曲を書き上げる。偉大な曲の前ではプシュコフなど、躓きさえしない小石のような存在に過ぎなかったのだ。

 という訳で、もともとドラマチックなハチャトリアンの人生だから素直に演出して素直に編集すれば感動的な作品になった気がする。ガイーヌの上演は最大のクライマックスだから、もうちょっと盛り上げ方を工夫できたはずだ。「バラの娘」と被るのを避けたのかもしれないが、剣の舞の曲があるとないとでバレエ団の雰囲気はガラッと変わるはずだから、同じようなシーンを繰り返してもよかった。世界的な評価よりもハチャトリアンの周囲がどのように変わったのかが、観客にとって何よりも気になるところなのである。本作品はサーシャのその後や振付師との確執のその後などがちっとも描かれず、尻切れトンボ感は否めない。え、終わり?という感じで映画が終わったのは久しぶりだ。必要なシーンが決定的に不足している作品だった。
木蘭

木蘭の感想・評価

1.0
 伝記映画はドキュメンタリーでは無いので、架空の人物が出て来ようが、エピソードを脚色しようが、歴史修正主義とののしる事は無意味だし、むしろどう味付けするのかが醍醐味なんだが、ここまで素材の味を殺しまくって人工調味料の味しかしない伝記映画も久しぶりだ。
 架空のキャラクターたちは周りで踊り狂いながらも主人公を輪の外に弾き出し、物語は何の帰結も無ければカタルシスも与えてくれない。

 アルメニア人虐殺事件やら、アルメニア民謡、更にはアルメニア人著名人のバグラミャン将軍やミコヤン(字幕では高官としか表記されないけど)の名前を出してみたりと、現代アルメニアのナショナリズムの夢をハチャトリアンに託した作品になっているが・・・そもそもハチャトリアンはアルメニア人だけれども、一度もアルメニアに住んだ事は無く、ソ連時代もアルメニアの人民芸術家に祭り上げられていたけれど、どの程度アイデンティティを持っていたのか謎の人ではある。
 少なくともモスクワで政治家をしていた兄の引き合いで最高学府で音楽を学ぶ事が出来、コーカサスから小アジアの民族音楽を西洋音楽に取り入れる作風は共産党の文化政策にマッチしていたのは間違いなく、ソ連的で、ソ連が無ければグルジアの一音楽家で終わっていただろう人。
 そんな彼に、反社会主義体制的でアルメニア民族主義の語り部に祭り上げるのは、新しいファンタジーに過ぎない。

 しかも、監督も分かってやっているのだが、ハチャトリアンは「剣の舞」にうんざりしていたのは有名な話。
 クライアント(政府)のごり押しで演出が変わり、一週間前に大慌てで作った曲がウッカリ世界的ヒットに成ってしまい、この曲ばっかり演奏されたのだから、堪らないよなぁ・・・。
 体制に翻弄される芸術家の思いやら、アルメニア人の悲劇や精神性なんかを、この曲に託して行くのだけれど・・・この曲って、劇中でもクルド人が踊る曲なんで無理があると思うけど。

 ハチャトリアン御大の溜息が、草葉の陰から聞こえてきそうな作品。
paoniaco

paoniacoの感想・評価

2.0
2020-66
「剣の舞が出来上がりました」って、で…?曲自体は短いんだから、民族舞踊と一緒に見せろや~
途中から試合放棄気味に見たのだが、それにしても斬新な終わり方。
主人公はもっと髭面です。

 ハチャトリアン
  仮面舞踏会も有名

真央ちゃんが踊ったねー
 あれはすごい振り付けだった
  ほんとに、、、よく滑ったねー

 あ、脱線
政治的圧力やプロパガンダを否定的に描いているようで、体制に逆らわなかったものだけが助かってしまう愚かなプロット
yuki

yukiの感想・評価

2.5
😔スクリーンに吸い込まれない。。

下衆男のプシュコフが架空のキャラクターとは😔

監督の一推シーンは「バラの娘たちの踊り」とか。

汽車の音を聞きながら銀盤の上でリズムが鳴り、「剣の舞」へと繋がっていくシーンがよかった。
i

iの感想・評価

1.0
驚くほど内容が頭に入ってこなかった。剣の舞を書き上げる創作場面がこれまた分かりにくい。おじさんとガタンゴトン?!舞台場面を期待していくとダメ。
こんなに面白いネタを、よくぞここまでつまらなくできたといいたくなるほどひどい映画。肝心の「剣の舞」は、チラリとしか出てこず、「バラの娘」は全曲見せるアンバランス。クライマックスからラストも、素人の脚本のような、いい加減なつくり。オケピットが映ることもなく、いかにもCDの演奏が聴こえてくる安っぽさ。サクソフォンを初めて手にして数日でソロを吹く、ありえない設定。期待していただけに、実に残念だった。
アメブロを更新しました。 『「剣の舞 我が心の旋律」ロシアの有名な音楽家ハチャトゥリアンの伝記映画です。』
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norinori

norinoriの感想・評価

3.2
高官に監視され、自分の作りたい曲がつくれない苦悩。
表現の自由って、本当に幸せな事なんだと感じた映画でした。

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