シネクスー面白映画発掘人

MOTHER マザーのシネクスー面白映画発掘人のレビュー・感想・評価

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
3.0
-

ビッチな母親演じる#長澤まさみ と息子役で初演技の#奥平大兼 が共依存の親子愛を痛々しく描く作品。
社会から孤立していく親子に生まれた絆が
「少年による祖父母殺害事件(実話)」
へとつながっていく。

(ダーレンアロノフスキーの方じゃないです、そっちも大好きですけど)


監督は#さよなら渓谷 、#まほろ駅前多田便利軒 の#大森立嗣。
(#大森南朋 の兄で、#麿赤兒 の子!)
プロデューサーは#宮本から君へ #あゝ荒野 等の話題作も手がける
#河村光庸。#スターサンズ 製作です。



そういえばこんな事件あったな~
と思いながら観賞したんですが、実際には妹はおらず、
腹違いの13歳以上の姉がいて、更に母親には離婚前の子が2人いたが、
旦那が引き取ってるらしい
(父親が親権とるとかよっぽどだろ)。
また祖父母のキャラは逆だったそう。
-


初の#tohoシネマズ池袋 、久々の邦画新作で行ってきました!

#キングダム #マスカレードホテル はじめ、
結構最近売れ行き映画にでてる長澤まさみが、近日公開の
#コンフィデンスマンJP シリーズとは全く逆の役柄で出ていて、
ファンの私も嫌いになってしまう程クズな役柄でしたw


長澤まさみだとちょっと悪になりきれないなー
なんて思う反面、共依存する弱い母役はバッチシな感じで、
後半に行くにつれハマってく感じです。
(さすがに#阿部サダヲ は優しさ滲み出てる感あったけどw)

気づいたら苗字がついていた#仲野太賀 も
#ゆとりですがなにか #今日から俺は!!のアホなイメージ
が強かったんですが、カッコ良いクズとしてハマってます。


何よりの見どころは奥平大兼の演技ですかね。
ナチュラルな演技が結構痺れます。
大森監督特有の長回しは、
言葉を発さなくても思っていることを想像させるような尺。
客観的な視点を自覚させられる撮り方で面白かったです。


ストーリ―的にはよくある
貧乏家族の親がクズ=子どもの私物化
→子どもがかわいそうで泣かせるストーリー
みたいな既視感あるものなんですが、
秋子が冒頭でヒザ傷をベロっと舐めるところから、
それほどの異常な愛を感じるし、自転車下りずに子ども歩かせるとか
母親ながら幼稚な部分もみえるので序盤で引き込まれる感は強いです。


途中生活保護担当の#皆川猿時 に警察にもっと頼れよ
(頼れないようなことを秋子にしてた?)とか、
子役の幼少期が思ったより長くてジャケットの新人子役
なかなかでないなー、なんて心でツッコミながら観てました。
(因みに画像は奥平大兼でタグ付けしてるもののホントは子役の郡司翔)

オチも、ガンガン告知で主張されている”祖父母殺人”の
それ以上でも以下でもない結末で、
途中何回かある時間が飛ぶシーンでは
「あれ、まだ終盤じゃないの?」みたいな、
どこまでやるの的な感じはあるんですが、
実話ベースで共依存の具現化という点では
きれいに表現できてる気がします。

因みに実話で秋子を育てた祖父母が曲者だったんじゃないか
と思ったんですが、
どうやらその親は普通に可愛がっていた模様。

毒親は親の影響だけでないところで生まれたと思うものの、
その毒親に育てられた周平は、
学校に行こうとする度、働こうとする度に、
毒親から阻害されてきたわけで、
やっぱりその価値観の中でしか判断ができないと考えると、
祖父母殺人を止める最終判断は周平にあった
という判決はなかなか渋いところを感じます。。

オチのインパクトよりも、
敢えて考えさせる観後感、奥平大兼の演技、
といった観点ではなかなかメッセージ性の強い作品だと思います。

実話系映画でホラーよりもよっぽど怖い作品を体感したい方、
是非おすすめの作品ですー!