なおむ

MOTHER マザーのなおむのネタバレレビュー・内容・結末

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

MOTHERはMONSTERだった。

溜息しか出ない。

人の好意を利用し、無下にし、とにかく何もかも潰していく。こんな親じゃなかったら周平の人生も全く違っていただろう。

何かに依存しないと生きて行けない秋子。
自分の気持ちが他にある時は周平に冷たく、それが去って行ってしまった時には周平に戻ってくる。
都合がいいな…と思っていたけど、ふと思い当たったことがある。

秋子は、周平の親ではなく創造主なのだ。あるいは家族という宗教の教祖のようなもの。
だから、あんた親だろ!と何度責められても響かない。
自分の分身なのだから、秋子だけに従順である事を望む、そんな歪んだ愛情。

『あれはあたしが生んだ子なの』
『あたしの分身』
『舐めるようにしてずっと育ててきたの』

周平からは慕われて当たり前、他人の男たちとは違って何をしても気持ちが離れていくことは無いと信じているから、下僕のようにも扱える。

家族なんだから気持ちは離れない…それはなんとなくわかる。

私も、親の愛が離れることなどないのだからと言う自信があって、強気でいられた。
いつも自分の味方で、ずっと自分を好きでいてくれる親が大好きだった。
ちょっとした喧嘩をしてもすぐに仲直りしたし、何かあってもいつも許してくれて。
他人には気を使うことでも『家族』には遠慮がなくても良かった。
それの、極端な形。

秋子が母親に勘当され妹に拒絶されようとも、何度も頼ってしまうのは、どこか家族に対しての甘えや、きっと見捨てないはずと言う期待が捨てられなかったのだと思う。

『すべてを狂わせた彼の母親は、怪物(モンスター)?』
『それとも聖母(マリア)だったかー』

秋子は傍(部外者)から見ると怪物でも、周平にとっては「世界(全て)」ー

周平にとって、秋子との関係は<共依存>なのかと思っていたけど違ったのかもしれない。
もしかしたら、小さい時にはそうだったのかもしれないけれど、それがいつしか深い愛情に変わっていったように感じた。
自分の世界を開くチャンスがいくつかあっても、結局は秋子から離れられなかった。
この人には自分しかいない。最後にはいつも自分に戻ってくる。
だから見捨てられないし、そんな秋子が好き。

最後の告白で周平の本心が明かされる。
もしかしたらこれは、一種のラブストーリーなんじゃないか。
そんな考えがふと頭をよぎった。
(上映後のトークでも佐藤順子プロデューサーがそうおっしゃっていて、思いっきり頷いてしまった。)

ラストシーン。
そんな周平の気持ちを知らされた秋子は何を思ったのか。

私には笑ったように見えた。
ほらね。やっぱりね。あの子の気持ちが私から離れるなんてありえないの。

でもこれは私個人の感じ方で、観た人によって違うんだろうな。
そこも含めて、確たる答えのない終わり方だった。


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始終辛いんだけど、特に苦しかったのは周平が祖父母のもとに行くシーン。
追い詰められた周平の思い。受け入れてくれた祖父母の思い。

『ごはん食べて行きなさい』『(冬華に)会いたいなぁ』
そんな優しさのなか、周平は犯行に及ぶ。
どちらの気持ちを考えても辛いしかない。


少ない枠の中、試写会に参加させて下さったFilmarksさんに感謝。



長文過ぎたので投稿後に編集して、多少短くしてます笑