Yuya

MOTHER マザーのYuyaのレビュー・感想・評価

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
4.1
親が子を愛し 子が親を想うほど 蠢く
生々しいまでに 醜くも哀しい人の業

血脈や愛情って 諸刃の剣なのか?
どこまでが絆で どこからが鎖なのか
その答えは 不敵な笑みと虚ろな瞳の
狭間で ぼんやりと薄まってしまう…

怖いのは 彼らの心情や行動ではなく
どこの家庭でも 決して起こり得ないとは
言い難いのだろうという不安
そして おそらくは 誰しもが彼らを
救うことができなかったと 思えてしまう現実

彼女の“最後”を悪と捉えるなら つくづく息子に同情もできる
しかし 幼い時分にゲーム画面から目を離さず
母の不在に対し 食事の不便さだけを訴えている
その少年の心にも 既に歪みが生じていたようにも思える
“共依存”には 互いが“相手には自分が不可欠”
と信じて疑わない脅迫概念と 同時に
“自己の正当化”という 善悪の思考の麻痺を生む
危険な作用があるような気がしてならない

まぁ 長澤まさみの新境地と圧巻の脱皮には驚いたなぁ
男の前で “オンナ”を魅せる妖艶さと
子供の事を他者に干渉された時に放つ 強烈な敵意
この2つの表情の差異は 見事だった
長男役の俳優の 堂々たる演技にも 将来性が見えたしね
ただ 阿部サダヲと皆川猿時という親友同士の
ファミレスの“イチャつき”には ちょっと笑ってしまった
Yuya

Yuya