このレビューはネタバレを含みます
これは…
つらかった。ずっとつらかった。
これだけ周りに大人がいてもセーフティーネットが届かないことってある。日本の現実をわりとちゃんと取材して撮ってるなぁという印象。実話ベースなのが余計につらい。
ただ、手放しに、すごかったー!と言えないなぁと思うこともあって、たとえば息子が最後に「僕はお母さんが好きなんです」って言うところ、この映画最大のカタルシスなんだけど、それによって「どんなひどい親でも子供にとってはたった1人の親なんだよね😭」みたいな美談?ぽく見せたいのかこれは?みたいな…
共依存がなぜいけないか、なぜ子供は教育を受けないといけないか、みたいな監督の眼差しはあまり感じなかった。
あの親子に関して、「それでも親は子を手放すべきだった」「子は親を選べない」的な厳しい視点があったらもっと納得できたと思う。結末がどうとかじゃなくて。
あの二人の間に、愛は、多少あったかも。でも少なくとも周平が秋子を好きな気持ちは、「世界に秋子しかいないから」であって、それは社会からこぼれ落ちてしまった子供だからであって、そこの厳しさに向き合って欲しかった。秋子のことだけを好きでいるように仕向けてるのは秋子の酷すぎる態度が原因だし(飴と鞭使ってさ)。
そりゃ、お母さん好きだろう。虐待された子だって、せっかく施設に引き取られても親元に帰りたいって泣くと聞いた事ある。複雑なんだよ~ その複雑さが…もっとあればな~
長澤まさみちゃんはすごい女優さんだなぁと思った。あんなきれいな人がホームレスのシンママとは… 見た目が綺麗すぎて、やっぱどう見ても貧困層のシンママには見えないんだけど、そのルックスのハンディを埋めるほどには演技が上手かった。急にキレる、悪気なく人に嘘つく、出会った男と次々に体の関係になるだらしなさ、虚無を見つめる顔… ああ、こういう人いるな~と思った。子供を育てられないお母さん。先のこと全く考えられずにその場しのぎだけで生きてしまう。この日本のどこかにたくさんいる、ひとりの女性。もっと本当に不健康でブスな感じのメイクにすればよかったのに… 日本映画って、なんかこう、貧困層をもっと貧困層ぽく見せようという気概があんまなくね?って、韓国映画とか観ると余計に思う。
抜擢という奥平くん、おどおどした態度、表情のぎこちなさ、お母さんを好きなこと、妹への優しさなど、ほんとーにうまくて、こりゃ逸材…!と思った。「誰も知らない」で柳楽くんを見つけた人もそんなふうに思ったのかな。
「あなたたち親子は共依存です」って、セリフで言わなくてもよかったよなー、あそこもったいない。秋子の説明セリフもいらなかったな。。それは表現で伝えてほしかったな。。
阿部サダヲさん演じるリョウ、クズすぎて無理だった… 阿部さんだから余計、軽薄な男感あって、イヤだった。最悪。けど年齢設定とかホストって設定が頭に入ってこん!笑
夏帆ちゃんはああいう役絶妙だよね~
テーマ的にどうしても万引き家族と比較してしまうところもあり、全然違うアプローチではあるのだが、万引き家族は本当に本当にすごかったと改めて思った。
最近こういう「格差社会」的な映画をよく見るんだけど、そのたびに、私ができることって本当に何もないのかな、って思う。何かできることがあればってもどかしい。助けてあげたい、こういう子供に何かできる大人でありたい。私に何ができるんだろう。