MOTHER マザーの鯖のネタバレレビュー・内容・結末

終始救いのない映画。
他人から見たらどう考えても100％クソ親なんだけど、子供からすると100％では無い。他人との関わり合いが出来て今までと違う世界を知れて、まともな世界に進む事も出来たのに結局子供には母親が全てで最悪な道を進んでしまった。母親が「この子は自分の子」と断言してる点だけは子供にとったら救いなのかもしれない。

詳しくは描かれていないけど秋子は子供の頃から家に居場所が無かったのではないか。母親が出来の良い妹ばかりをかわいがってというのは本当の事なのかもしれない。自分を必要としてくれる人が欲しくて男を漁り、子供を自分の手元に縛り付けておく。

周りの大人達も最初は周平の事を心配してるけど、結局秋子と関係を持つ。例外は遼だけだったな。子供に興味が無く秋子だけ。でも明子が妊娠したかもしれないと知ると簡単に捨てる。秋子を捨てたというより、自分の子供という事に恐怖を感じていたような気がする。彼もまた親から何か虐待を受けていたのかも。
女である亜矢は子供は見捨てないけど、男に暴力を受けている秋子は見て見ぬ振りをした。

周平は全く「自分」というものが無かった。怒りもせず、泣きもせず、わがままも言わない。無表情でひたすら秋子の分身として動く。お金持って自分で逃げ出すことも出来たはずなのにそうはしなかったのは、母親として好きだったのか、女としてなのか。

クソ親だったけど、クソ映画ではない。色々考えさせられたいい映画だと思う。二度と観たくは無いけど(笑) 現実世界でこの親子と似た境遇の親子が今もどこかに居るのかと思うとやりきれない。

周平役の2人の演技、素晴らしかっただけに阿部サダヲと皆川猿時が浮いていたのが残念。