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MOTHER マザーのmiuのネタバレレビュー・内容・結末

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

上映中、ずっと体が緊張状態で硬直していた。叫び声に聞き覚えがあって、怒号にびくびくと怯えていた頃を思い出して疲れてしまった。事件の経緯を羅列するかのように、日々がじっとりと流れていく。そこに母と息子の間に生まれる感情の機微や関係性を示すシーンをもっと見たかった。特に息子の心の動きを見たかった。これは母親の映画である前に、息子の映画でもあると思うから。これじゃあ主従関係にしか見えないと言われてもおかしくない。そうはいっても神社でのシーンを比べれば、親子すらも越えてしまったのかもしれないと感じて、苦しくなった。
親子の関係は、会わなくなっても縁を切ってもそう簡単に途切れない。好きも嫌いも割り切ることができたらどんなに楽だろうか。表裏一体、一心同体の分身みたいな存在は、自分にあまりに似ていて、似ていなくて嫌になる。それでも、そう簡単に諦めきれない、見捨てられない。自分がいなければ、しっかりしなきゃだなんて思えばもうどうしようもない。自分のすべてで世界だから。
それでも手を差し伸べられる社会で、大人であれるようにとひたすらに反芻していた。中学生か高校生の頃の彼に白髪があることに、胸が締め付けられた。どれだけ、我慢してきたのだろうか、愛と依存だけで片付けられないよ。
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