史上最もドキュメンタリーに見えないドキュメンタリー映画かも？老人ホームの実態に迫るドキュメンタリーですが、いろいろ詰め込まず洗練されたシンプルなメッセージ性がとても心に沁みました！83歳のセルヒオおじいちゃんが、老人ホームに潜入してスパイデビュー(笑)。が、そもそもターゲットの顔を覚えられず、仕方なく手あたり次第入居者に話しかけるうちに彼らと心を通わせていき...
いや、これホントにドキュメンタリー？そうだとわかって観ていても、時々取材カメラが映りこんでも、すぐ忘れて普通の映画を観ているような気がしてしまう。ストーリーも先々の展開が完璧に読めてしまうほど起承転結がしっかりあって、登場人物のキャラもきちっと確立されてるし、セリフも脚本みたい。映像もめちゃくちゃ構図とかきっちりキマッてるし、音楽もそれにちゃんと調和している。
だからといって、作為的だとかそういう嫌な印象は全くなく、非常にキレイにそぎ落とし整理した形で提示されることによって、焦点を当てた"孤独感"がストレートに心に響きました。介護など社会的な背景は一切描かれないので、世界中の誰が鑑賞しても余計なことを考えずに自分や家族の問題として考えることができるのもいいですね。
ところで、おじいちゃんおばんちゃんに天使の羽をつける演出はありなんか？なんか縁起でもない気がするぞ(笑)。明るい陽の光が印象的な全体にほんわかした雰囲気で優しい気持ちになれるし、相手が身近な人でも見知らぬ人でも温かな交流を大切にしていきたいと思える映画でした。
