たま

画家と泥棒のたまのレビュー・感想・評価

画家と泥棒(2020年製作の映画)
3.5
ドキュメンタリーだからの迫真さが際立つ。

表情や空気感が、演技とはこれほどまでに違うのかと思い知らされた。

盗まれた絵画の作者バルボラと、盗んだ本人カールが対面する。

それだけでも信じ難いことだけど、バルボラは責めることなく、カールの絵を描きたいと提案し、カールもそれに応じる。

そこから生まれるふたりの関係。

完成した絵を初めて見た時のカールの表情が忘れられない。
波打つような感情を抑えきれず、自分の生きてきた人生が、頭の中で走馬灯のように巡っていたかのように、感情があらわになっていく。
見ているほうもつい心を動かされてしまう。

孤独だった子供時代を過ごしたカール、その後も薬物に手を出しまともな人生を送れずにいる。

元恋人からDVを受けた、過去の呪縛に未だ囚われているバルボラ。
経済的にも苦境にたたされている。
それぞれの葛藤の中、生きているふたり。

そして、ラストに映し出された絵画。
しばらく身動きが取れなくなるほどの衝撃だった。
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