うっちゃりはちべー

サンドラの小さな家のうっちゃりはちべーのレビュー・感想・評価

サンドラの小さな家(2020年製作の映画)
4.0
邦題のほのぼのした印象で観に行ってみたら、だいぶしんどい話でびっくりした。
小さな家〜〜〜って感じじゃない。全然ない。
「ニューヨーク 親切なロシア料理店」と同じく、ほのぼのした邦題で誘うDVとの壮絶な戦いの記録(サンドラ〜はDVとの、というより自分との戦いかもしれない)。

みんなで家を建てるよ!という部分も大きいけれど、メインはDVから逃れて生活する事の難しさ、その一因となっている社会保障と司法の実態。
融通の効かなさと司法の揚げ足取りに観ている方は疲労困憊。どう考えたって決定的な理由があるのにのらりくらりとそこに行き着けない。
それでも子供達を連れ、運良く協力者を得て家を建てるために奔走するサンドラ。
協力者達は皆本当に良い人で、この奇跡的な出逢いと申し出が無ければ絶対成り立たない話。
もうそこで社会保障が追いついてないんだけど、それはさておき皆と交流したり同じ方向を向いて家を建てるシーンは楽しい。
もちろんこれで一件落着とは行かないけれど。
あるシーンではあり得ない事ではないのに結構ショックを受けてしまって、思わず「えっ!」と声が出た。

精魂尽き果てた先でもまだ立ち上がる、ほんの少しの希望のお話。
DV描写はキツいしショックも大きかったけど、しんどいけどしゃーないな……と腰を上げるきっかけにもなるので今は観てよかったなと思える。