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ナイトメア・アリーのMoviePANDAのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
3.9
『 FATE - 宿命 - 』

家族間のコミュニケーションと聞き逃していただきたい。時たまフザけた妻から“ざいご”とバカにされる事がある。ざいごとは在郷の事。要は「田舎者め!」という事である。距離で言ったら大したこたない、せいぜい50km位なんですけど。でも、そこが大きな違い。乗り越えられない壁、という事らしい。

デル・トロ監督の最新作という事で気になりつつ、この映画イマイチどんな映画かよくわからないw で、調べてみたらネオ・ノワールサイコスリラーとの事。う〜む、ますますよく分からないw そんな時、予告編ってとっても重要!だから観てみた。そしたら、いとも簡単に見入ってしまった!よし、観てみよう!

脳への焼印とばかり、その炎上が強く印象付けられたオープニング。前半の舞台となるカーニバルへの道程は、行き先の定まらない男の人生を映す。それまでのキャリアが活かされた怪しげなカーニバル。美しく汚れた、と矛盾した表現がしっくり来る退廃。そこで出会う人々に刺激を受け、徐々に生きがいを見出す男。

「こんな僕でもやれることがある。」
 人を楽しませる事に感じる喜び。
しかし、その喜びは次第に欲に変わり...


ボクもやっぱり劣等感持ってました。
いや... 今も持ってる、が正しいか...
ありがちですが、専門学校出て実家から出て会社入って。で結婚して、責任者務めて、娘が生まれて。地元に残ったヤツもいっぱいいる。いまだ独身のヤツもいる。そいつらに比べたらオレ勝ち組じゃ?何せテレビにも出たし、新聞にも載った事あるしね!

小せぇ男!
文字にすると尚の事ですね!
でも、人間なんて所詮そんな者(もん)だし、結局やっぱ自分が可愛い。“お里が知れる”事を昔は恐れていたけど、でも徐々に肯定出来てきているとも思う。

でも...
だけど...
やっぱりまた上を見る事がある、人間だもの!その点、この主人公には何か共感出来たなあ。ダメな面いっぱいあるし、詰め甘いし、何だか結局他力本願。でも、だからこそとても人間らしい主人公だと思ったのも事実。恐らく多くの人が途中や最後を闇堕ち的に捉えると思うんだけど、それも何だかむしろとても人間らしく思えた。オレでもそうするかもなって。

人生における上昇と下降。
それを丁寧に暗く美しく描いた作品として、とても満足のゆく映画でした。デル・トロ監督と言えばあの頃のボクからしたら『ミミック』の!『ブレイド2』の!デル・トロ監督ですからね!原作もの且つリメイク作とはいえ、この様な作品を撮る様になったという事に何だか感慨深さを感じてしまうのでした。

それにしても豪華なキャスト!
ブラッドリー・クーパーやルーニー・マーラのうまさは言わずもがな。トニ・コレット様(エロい!)やウィレム・デフォー様の脇固めはアク強過ぎ... ケイト様はいつも通り通常運転が気合入りまくり演技おばけ&今回のリチャード・ジェンキンス怖ぇ〜よ。見た目はスピルバーグだけどね!あと何と言ってもデヴィッド・ストラザーン様はあいかわらずの素晴らしさ!ホントに心から愛してます!いつも名演をありがとうございます!(◍•ᴗ•◍)
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