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無頼のmuraのレビュー・感想・評価

無頼(2020年製作の映画)
4.3
新年はじめての映画。昨年は気持ちがのらず、映画から少し遠ざかった。スクリーンで見たのは50作ぐらいか。ってことで、そのなかから日本映画のマイ・ベストテンを。

1 朝が来る
2 滑走路
3 ラストレター
4 劇場版ごん GON,THE LITTLE FOX
5 海辺の映画館ーキネマの玉手箱
6 風の電話
7 糸
8 ホテルローヤル
9 生きちゃった
10 もみの家

では、井筒監督の新作について。『広辞苑』では「無頼」を、「正業につかず、無法な行いをする者。また、その行為」と、また「たよるべきところのないこと」としている。

材木問屋を営み、成功をおさめた祖父。財産を食いつぶし、家を没落させた父。この家に生まれた三兄弟は、戦後間もない頃、貧困のなかで荒む。そして極道へ。三男・ヤスジは敵対する勢力を襲撃し、刑務所に入る。出所後、兄たちに担がれて親分となり、井藤組を発足させる。昭和から平成にかけて、ヤスジは仲間たちとともに浮沈激しい極道の世界を生き抜いていく…といった話。

極道を主人公に据えた大河ドラマ。戦後間もない頃より平成まで、実際の事件や情勢にもふれながら、ひとりのヤクザの人生を描いていく。

同じヤクザ映画ではあるが、『アウトレイジ』が「抗争」を描くのに対し、これは「人間」を描く。井筒監督らしいともいえるか。『パッチギ』極道版。

(以下ネタバレあり)
ヤスジは抗争で死ぬわけではない。兄も病床で家族に看取られながら死んでいく。この拍子抜けのようなヤクザ映画になぜか惹かれる。いやいや、だからこそ惹かれるのか。見入ってしまった。井筒映画はやっぱり面白い。

で、木下ほうか演じる「ナカノ先生」の存在が効いている。
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