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スイング・ステートのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

スイング・ステート(2020年製作の映画)
2.0
選挙活動がいかに有権者の生活の場であるコミュニティから乖離したものになっているかを映画・テレビでお馴染みのコメディ俳優スティーヴ・カレルを主演に面白おかしく映画にした、かったんですよね多分。で、出来上がったのは、ギャク路線で行くのか、風刺路線でいくのか、どんな映画を作りたいのかという最も根本的なところが製作者の間で共有できていない悲劇的な映画に仕上がっております。批評にはずらりと"unfunny"という言葉が並んでいたのでスベっているのだろうとは思って覚悟して鑑賞したが、こういうのは初めてのパターンかもしれない。

前半はセリフ、しぐさなどで数秒~数十秒ごとにお笑いポイントがあり、明らかに脚本自体はギャグ路線で笑わせに来ている。だがどういうわけか役者は、シリアスな空気を維持しギャグ噛ますときに遠慮がみられる。恥ずかしがって遠慮がちに披露するギャグほど面白くないものはありません。主演のスティーブ・カレルも方向性としては明らかに彼らしいいつもの顔芸・声芸をしているのだが、遠慮がみえ全く笑えないどころか、むしろこれは皮肉の表現なので笑ったらいけないということでしょうか?...と観てる方は思ってしまう。最新のABCシットコムHome Economicsではコミカルな演技を披露していたトファー・グレイスにも同じことが言える。
後半からは我々日本人にも昨年の選挙戦ですっかりおなじみとなった、いわゆる共和党を中心とした馬鹿げたテレビ出演やCMなどのパロディが続くが、元ネタのほうが思いっきりはじけてるというか振り切れているので、結果的に現実よりちょっと抑えた控えめバージョンをわざわざ映画で見せられているのだからまあ全く面白くない。

一体制作の過程で何があったらこういうことが起こりうるのか?いろいろ考えてしまう映画でした。私なりに考えたのは、
1. コメディ俳優とそうでない俳優が入り混じっていてうまくかみ合わなかった。
2. 撮影現場がめちゃくちゃ険悪で空気が悪かった。
3. 脚本家はギャグ映画を目指したのに対し、撮影現場・俳優が反発し抗議の意味を込めて撮影に臨んだ。
4. 映画の目指す方向性に関して監督の気が撮影時になって急に変わった。
くらいでしょうか...

もう一つの問題点は非常に冗長であること。ワンカットで十分状況はわかる部分になぜか同じようなメッセージを伝えるシーンを重ねてくる。

アメリカの選挙について勉強するために観てみたいと思っている方、2020年の選挙戦での日本メディアの国際報道番組以上の情報はありませんのでご心配なく。オチはまあまあきれいなのでもったいない。後知恵としては最初から真面目な風刺映画とするべきだったと思います。