だん

情婦のだんのレビュー・感想・評価

情婦(1957年製作の映画)
4.5
原点にして頂点に立つどんでん返し映画。
できるだけこの感想ではストーリーに触れないようにするけど、本当に何の情報も無しで観てほしい。

正直僕は、どんでん返し映画は嫌い。退屈な前振りばかりして最後だけドヤ顔したり、せっかく面白いのに「全てが覆るラスト」のせいで時間が無駄になったり、読後感の悪い映画ばかりだから。

しかし本作においてどんでん返しは、作品を構成する一つの要素に過ぎないように感じた。これと言って派手な演出はなく、ただただ緻密な脚本力と胸踊る展開だけで攻め落としてくる。ビリー・ワイルダーだからか、どことなくユーモアがあって見やすくなっているのも嬉しい。
そして、伏線と謎が所々に散りばめられたこれまでのストーリーラインがラストの10分でキュッと統括される。この満足感。つい、あっという声が出た。(でもまだ観てない人は期待値低めで!)

色のついてない映画でここまで惹き付けられたのは僕にとって初めてだったし、ビリー・ワイルダーの天才ぶりがようやく分かった。
感無量。
だん

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