Kamiyo

情婦のKamiyoのレビュー・感想・評価

情婦(1957年製作の映画)
4.2
1958年(昭和33年)”情婦” アガサクリスティー原作”検察側の証人”
監督.脚本ビリ-.ワイルダ-法廷ミステリーのリスペクト作品です。

この映画の凄いところは観客を「完全に」騙そうとしているところだ。
そう、「完全に」。
騙す素振りさえ見せずにラストでひっくり返してしまう。
少し気のきいた映画なら、あの主人公の男をもう少し裏があるように描くのではないか。
こいつはどうも怪しいぞ、そんな気持ちを観客に起こさせるやり方もあったはずだ。
この映画の凄いところはやはり観客を騙すことに徹したことなのだ。
種明かしの後に「見てない人にばらさないでね」と一言添えるほどの徹底ぶりなのだ。

スト-リ-は弁護士業界の凄腕として、その名を知られる老弁護士ウィルフリッド卿(チャ-ルズ.ロートン)は、生死を彷徨う重い病の床から、生還したのだった。
今日は、病院からの退院の日だが、まだまだ油断の出来ない状態で
看護師ミス.プリムソル(エルザ.ランチェスター)付きでの退院となった
ウィルフリッドは事務所に落ち着く間もなく、事務弁護士に連れられた
金持ちの老未亡人が殺され容疑者レナード・ヴォール(タイロン.パワ-)の弁護依頼を受けることになる、ヴォ-ルは無実を主張する。
しかしアリバイの証明者は妻クリスティ-ネ(マレ-ネ.ディ-トリヒ)しかおらず、状況は極めて不利で。
彼らの元を警察が訪れ、レナードは殺人容疑で逮捕されてしまう。

クリスティ-ネならアリバイを証明出来ると言うが、証言台に立った
クリスティーネが証人として、出頭して彼女のある証言に法廷は驚愕する。

弁護側と検察側の丁々発止のやり取り、二転三転する法廷劇、妻の思惑、そして驚きの結末まで、伏線も張られ、全く飽きない。

「なぜクリスティーネは、最後に弁護士のウィルフリッドに全てを話したのか?」という疑問が湧いたのですが、その点も本作は見事にクリア。
アガサ・クリスティの所思が、いかに深かったかを感じさせました。

素晴らしいのは、法廷劇だけでなく、愛の物語でもあること。
真実の愛を見い出すミステリーでもあります。
弁護士のウィルフリッド(チャールズ・ロートン)は果たして真実の愛を見抜くことができるのか?
そして、見る側は、知ることになります。
 愛とは、いかに強く、残酷なものなのか、、、

ベテラン弁護士役のチャールズ・ロートンが名演。
無実を主張する容疑者役のタイロン・パワーの熱演も凄い

終盤のマレーネデイトリッヒの演技の迫力と言ったらもう半端ない
艶かしさと迫力は堪能しましたが($100万の美脚も!)。
当時のご年齢には大変驚きました56歳ですってなんて若々しいのでしょう!
彼女は本当のドイツ人で、彼のヒトラー相手に毅然たる
態度で立ち向かった人だそうです。
その気丈さも映画の中で伺えます。
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