このレビューはネタバレを含みます
[信頼できない語り手と ] 80点
なかなか凄い映画だったが、なんだか書く気力が起きないので適当に。本作品の構造をストレートに明かせば、信頼できない語り手と をかけ合わせたものである。そのために記憶は時間軸が入り乱れて交錯し、アンソニーの自宅アパートらしき幾つかの部屋に限定されたことで事実と捏造された記憶が等価になって見分けがつかなくなり、まるで『なんて素敵な日』のような世界で一番悲しい繰り返しが生まれてしまう。徹底的に視点人物から目線がブレないからこそ、主観事実が悲しみの中に積み上がっていくことで本作品の悲壮感が増していき、混乱を強いられるにも関わらず全ての瞬間が忘れがたい作品へと変化するのだ。勘が良ければ序盤ですぐに見破れるくらいのトリックだが、それをバラすことを目的とした映画ではないし、寧ろバレてからの方が面白い気がするくらいよく出来た作品。