くう

ファーザーのくうのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
4.2
予想を超えたストーリーで、ただただ驚く。

もっと、解り合えない父と娘の介護を通しての触れ合いストーリーのような…そうじゃなくても「ジャッジ 裁かれる判事」のような方向の話なのかなと勝手に思っていた。これはサイコサスペンスより怖い…

劇場の外に出て長い長いエスカレーターに一人で乗りながら、私は何処に行くのだろう。ここは本当に正しい道なのだろうかと考えてしまった。

時間のもやを漂う老人を演じたアンソニー・ホプキンスさん、リアルな迷い人。

他のユーザーの感想・評価

Omizu

Omizuの感想・評価

3.8
【第93回アカデミー賞 主演男優賞、脚色賞受賞】
「演劇界の貴公子」フローリアン・ゼレールが自身の舞台を映画化した作品。『マ・レイニーのブラックボトム』『あの夜、マイアミで』と舞台の映画化が多かったが、その中では最も作家性が特出した作品ではないだろうか。

これを観てしまうと主演男優賞がチャドウィック・ボーズマンじゃなくてアンソニー・ホプキンスにいったのは納得だなと納得させられてしまう。「怪物的演技」とはよく言ったものだ。

『アリスのままで』など数あるアルツハイマー映画の中でも異色、当事者の視点から描くことでジャンル映画になっている。これはもはやホラーだ。今いる自分は本当の自分?存在するのか?と実存の不安まで覚えるという点ではSF映画的要素もあるかもしれない。

これはこの映画には関係ないけど、コロナ禍を通していかに自分が集中力がなくなっているかがよく分かった…
苺

苺の感想・評価

4.5
様々なことを忘れてしまうって凄く恐怖。
まるで自分も認知症になったかのような体験が出来るストーリーでホラーみたいでした。
家族も思い出も分からなくなってしまうって辛すぎるな。
毎日仕事しながらお父さんのお世話をする娘、凄く大変だろうなぁと切なくなった。
愛していても介護って凄く大変。
頑固ながらもお茶目な面もあってアンソニーお爺ちゃん可愛かった♡
彼の演技が素晴らしすぎて、泣けてしまった。
誰しも来る老いを体感した気分。
たみー

たみーの感想・評価

3.9
父親の最期をなんだか思い出してしまって、リアルで苦しい映画でした。
本人も家族も切なくて、認知症は残酷な病気です。
アンソニー・ホプキンスはアカデミー賞納得の素晴らしい演技でした。
ausnichts

ausnichtsの感想・評価

3.0
「認知症視点」の「記憶と時間の混乱」を描いた映画を期待したのですが、一見そうとは見えても、これは第三者が認知症とはこういうことかと想像していることであり、厳密に考えれば認知症状態で自分が認知症であるかも知れないと不安になることはあるのかとやや疑問に思った映画です。

ただ、それだからこそだと思いますが、家族やその周囲があるいは抱くかも知れない感傷的な思いを一切排除していますので、逆に自分を失うことの寒々とした孤独感が出ているとは思います。

アンソニー・ホプキンスさんの映画かと思います。

ただ、やはり舞台劇なんでしょう、あまり映画的ではなくやや退屈です。

「ネタバレレビュー・あらすじ:アンソニー・ホプキンスさんアカデミー賞主演男優賞受賞!」
https://www.movieimpressions.com/entry/thefather
Nao

Naoの感想・評価

3.7
出てくる人が誰なのかとか時系列とかが複雑でかなり混乱してしまった。認知症になってしまったら、こんな風に毎日混乱してしまうのかもしれない。

他の認知症の方について描かれているドラマ・映画を観た時は、「忘れられてしまう人の悲しみ」と「大切な人を忘れてしまう苦しさ」のようなものを感じていた。けれど、この映画では、認知症になったことによって何が起こっているのか分からなくなってしまう本人についてが主で、今までのものとはアプローチの仕方も全然違くて、不思議な感じもした。記憶があやふやになっていく悲しさももちろんあると思うけど、認知機能がなくなりかけている時に人と関わるのって恐怖体験だなと思った。
映画畑

映画畑の感想・評価

4.0
演出が予想外にすごく格好良かった
引きの視点とアンソニーの視点を混ぜることで、時間の前後が分からなくなってきて次第に夢を見ている様な感覚になっていく、素晴らしい映像でした。不謹慎だけど、まさか認知症の症状を映像にするとこんなに面白くなるなんて思ってませんでした。
観る前は内容の悲しさに耐えられない気がしてたけど、映像のロジックに気づいた後は美しさに見入ってしまいました。

なによりまず、劇場でアンソニーホプキンスの演技を観れたことが嬉しい、、
mal

malの感想・評価

4.5
認知症の現実と幻覚の境を彷徨う映像演出が衝撃的。アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマンの演技に魅了された。
かよ

かよの感想・評価

3.6
アンソニー・ホプキンス目線で見るとホラーなんですけど!世界がこんな風になってしまうなんて怖すぎる。
mai

maiの感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ポスターの家族愛溢れる温かい雰囲気とは真逆のとても辛い内容だった。
基本は、認知症の父親の主観的な視点で話が進んでいくため混乱状態。
自分を失っていく恐怖を、「葉が一枚ずつなくなっていく」みたいなニュアンスで最後に言ってて一気に悲しくなった。

アンが赤い口紅をしてるシーンでなんとなくこことここが繋がってるのかななんて考えたりして。
パリでは英語が通じない、今何時だ、ルーシーに似てる、交錯していく展開の中で何度か聞く台詞が印象的だった。
ゆ

ゆの感想・評価

4.0
ポスター詐欺では?
認知症を一人称視点で体験するとこういう風になるのね…
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くうさんが書いた他の作品のレビュー

零落(2023年製作の映画)

3.5

趣里さん、伊藤 蘭さんによく似ているって、今回初めて思った。

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何かの頂
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4.0

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スピルバーグ監督を作り上げた血筋、家族の物語。


それにし
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