ゆき

ファーザーのゆきのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
4.1
順調

アンソニーの世界の「太陽」は娘・アンなのか。
マジックみたいなシーン展開。
コロコロと“フラット”(家)に足を踏み入れる人間が変わる。
反復するセリフと気難しいアンソニーの表情のバリエーション。
知的なアンソニーの中に蓄積された人格と記憶の旅。引き込まれるほど、俯瞰できなくなっていく。きっと数時間の出来事なんだろうに。
迷子の子供みたいな泣き方をするアンソニー。手を取ることの難しさもさることながら、表情筋の小刻みな震えだけでひしひしと伝わる不安が物凄い。
忘れ行く彼と「お気に入りの娘」ではない方の忘れられる娘の苦悩。隣の人の日常かもしれない普遍的な題材であり、全てを察した時の虚無感ゆえに97分でクタクタだ。
何を機に変わるのか、アンのシャツの色の意図も気にかかる。もう一度観たいと思えてしまった。

***
広い我が家での独り暮らしの81歳。しかし、痴呆の症状が見え始め、娘は介護人を手配するもそりが合わない。徐々に現実に出会う人と幻想の境界があいまいになっていく。
ゆき

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