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ファーザーのKのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
4.5
本作はフローリアン・ゼレールが2012年に発表した戯曲『Le Père 父』を原作としており、彼自身が監督と脚本を担当している。
喜怒哀楽、目紛しく変わっていく感情の渦の中で虚構と現実が入れ替わる。他人に違うと言われれば、今まで現実だと思っていたものが虚構に変わり、虚構が現実に変わる。今までの記憶が塗り変わる、娘の本当の顔さえもあやふやになっていく。今話しているのは誰で、彼処にいるのは一体誰なんだ。これはまさに認知症の実像そのもの。誰しも訪れる老いという現実を認知症の人間の視点を用い、今までに無かった映像で体験させられる。もはやホラー映画よりも恐ろしい。これは虚仮威しのフィクションなどでは無く、将来自分の身にも起こりうる現実なのだ。もし仮に認知症になったとしたら、こんなにも世界が変わってしまうのかと思うと恐怖でしかない。Netflixにあるので是非とも見て欲しい。これは人生で一度は見ておくべき作品だ。というか相変わらずイモージェン・プーツは出演作品選びが本当に上手いな。