ファーザーの作品情報・感想・評価

ファーザー2020年製作の映画)

The Father

上映日:2021年05月14日

製作国:

上映時間:97分

ジャンル:

あらすじ

「ファーザー」に投稿された感想・評価

けい

けいの感想・評価

4.0
アンソニーホプキンスの名演。
そして、誘われる酔いの体験。

なんというか、少し変わった体験をするための映画と言えばいいか。
エンターテイメント性を求める映画とは一線を画す。

感動があるとかないとか、そういうものではない。主観的世界が崩れていく様と客観的に正しい世界の認識とは何かを観ている人間に問い始める。

説明が少ない分、観るひとを選ぶ作品。
Dumbo

Dumboの感想・評価

4.0
自分が観て辛いだろう事は、
観る前から分かっていました。

それでも敢えて観に行くべきと思ったのは、
これから母の介護をするために、
知っておかなければいけないと思ったから。

母は認知症ではありませんが、
病気の後遺症で脳に障害があります。
失語もあるので思うように話せず、
携帯で電話するのも一人ではできないので、
コロナ禍で入院中の今は、
洗濯物の中に入ってくる手紙で
私とやりとりしているのですが、
お互いなかなか意思が伝わらず、
母が持ってきて欲しい物と違っていたり、
タイムラグもあるので、
「なかなか持って来てくれない」と思われたり…
最近は私もちょっとイライラしてしまったり、
そんな自分にまた落ち込んだりしています…


こんな気持ちで観たので、
鑑賞中はアンソニー・ホプキンスの演技が
どうだったとか、思う余裕もなく…
ただまるでホラー映画を観ているように
怖かった。
今になって、
こんなふうに怖いと思うくらいだから、
アンソニー・ホプキンスの演技は
きっととんでもなく素晴らしかったんだなぁと
言えるのですが💦


誰が誰なのか?
そもそも自分は何者なのか?
いったいここはどこなのか?
この家は誰の家なのか??…

アンソニー(このおじいちゃんの役名もアンソニー)の視点で描かれているので、
観ているうちに、
まるで自分が混乱しているかのような
気分になります…
昨日はこうだった事が、
今日はまた違う状況になっていて…
何が何だかさっぱりわからない…

認知症の特徴なのか、
アンソニーは腕時計にこだわりがあり、
腕時計が無くなったとか盗まれたとか…
会話の中にも頻繁に腕時計が出てきます。
…ちなみにうちの母はバッグにこだわりがあり、
次々にこんなバッグを持ってきてと言います…


ラストのアンソニーの
子どもに戻ったような姿には
涙が出ました…
最後に帰っていくのは自分のお母さん…

人生の最後に、
辛い事だけ忘れられるなら、
それは神様からのギフトかもしれないけれど、
大切な人の事も、大切な思い出も
自分が誰なのかも 
忘れてしまうのは本当に辛くて怖い…


憎まれ口をたたくのも、頑固で頑なになるのも、
その人のせいではなくて、
病気のせい。
病気がそうさせている…
そして家族も辛いけど、
一番辛いのは本人で、
一番怖い思いをしているのも本人…

それが分かっていても、
私は優しくなれるだろうか…
それが、すごく怖い…
優しくなれなくなった時は、
この映画を思い出そう。
そして、記憶があやふやな中で
私の誕生日を覚えていてくれて、
電話でただ一言、
なんとか聞き取れる「おめでとう」を
言ってくれた事も。


観に行ってからしばらく、
レビューが書けなくて、
こんな事ばかり考えていました。


私たちとは、
ある意味“違う世界”に生きている人たちと、
その人たちの気持ちを体験できる、
そんな貴重な映画でした。


レビューではなくて、
ただの身の上話になってしまいすみません💦


The Father





(辛かったけど…
 貴重な経験が出来たことに感謝して…)

この日の映画館での幸せな一人時間を
ありがとう!!
Aやん

Aやんの感想・評価

4.0
117-13
恐ろしすぎる
途中こんがらがったけど

実際こんな感じなのかなぁ…

アンソニーホプキンスほんまにすげえ…
認知症のアンソニーが見てる世界に視聴者も引っ張り込まれる映画。恐ろしくて苦しい体験でした。サウンドオブメタルもだが今年は体験型映画のリアリティがすさまじい。VRで1人称目線で見る映画とか先々出てきたりするのかな?
かな

かなの感想・評価

-
2021.06.15
naopeko

naopekoの感想・評価

4.1
認知症を患う高齢のアンソニーは娘に支えられながら生活を送る。
娘が引っ越しの為介護人が必要になるが彼は断固として拒否をする頑固な性格だった。
しかし彼女は引っ越しをしないと言ったり見知らぬ人が突然現れたりする。
今目の前に見ているものは?人は?彼に起きる真実とは?

考えれば考える程恐ろしい映画だった。
認知症の追体験、というものがどういうものか全く想像がつかず鑑賞に至りました。
記憶してしまったら意味無いのではと思ったけどそもそも記憶する場面がないという事だった。
覚えていない=知らないを上手く組み込んだ演出。
記憶と事実、過去と現在が混在し、さらに断片的になる事で思考が崩壊する。
何が真実で、何が現実で、、、と押し寄せる不安。
病を患う当人も周囲の人間も得体の知れない恐怖の渦に呑み込まれていく。
ぐるぐる回るその渦の様をひたすら見つめたが故に目が回った。
混乱した脳で出せる答えは一体なんだろう。

アンソニー・ホプキンスの名演に酔いしれた映画でもあった。
胸が張り裂けそうになるあの表情と台詞が忘れられない。
「茜色に焼かれる」を先に観て、号泣しまくって体力を全部奪われたので、あまりちゃんと観ることができていないのが残念。

本作は巷で言われているように、完全に「ホラー映画」になっている。
その「ホラー映画」という表現で全て言い表せてもいるような気がする。
(体調が万全であれば)とにかく全編怖い。

しっかりと意識され、構築された画面設計。「フラット」と呼称される住居空間がアカデミー賞主演男優賞を受賞したアンソニー・ホプキンスの名演以上に主役然としている。
一見舞台劇的な作劇だが、特定の空間の生むサスペンスの妙と、アカデミー賞クラスの名演。
入れ替わり立ち替わる俳優たちの目まぐるしさで地味な展開も緊張が途切れない。

何より主題となる「認知症」は誰もが避けて通れない「明日は我が身」の問題という逃げ場のない現実を突きつけてくることが一番の恐怖として印象づけられる。
モルB

モルBの感想・評価

5.0
・予備知識が全く無い状態で観たので前半は「???」だったけど、認知症の老人が生きている世界の事と分かった瞬間に戦慄が走る。
・認知症を体感する映画。将来の事を想像して、心の底から恐怖を感じた。
・認知症の世界を体感する事で、人と共感が出来ないことの悲しさを思い知ると同時に、寄り添いの気持ちが強くなった。
maki

makiの感想・評価

4.3
アンソニー・ホプキンスが史上最高齢で主演男優賞を受賞したと知り、ずっと観たくて楽しみにしていた作品。

観た感想としては、期待値を遥かに上回る素晴らしい出来で、ラストには深く感動した。

”認知症”という当事者にしかわかり得ない世界を見事に映像化していて、鑑賞者に疑似体験させてしまう脚本の妙。

”認知症”と知らずに観たら、まるでサスペンス・ホラーのように感じられる日常を生きるアンソニー。
彼が経験する言い知れぬ不安、押し寄せる恐怖、孤独など、そのすべてを全身から滲み出すようなアンソニー・ホプキンスの演技は圧巻のひと言。

父の言動に傷つきながらも、現実に真摯に向き合い、自身の生き方を決断する娘役オリヴィア・コールマンの演技も本当に素晴らしい。

脚本、演出、役者の演技、すべてにおいて完成度が高いと思える傑作。
くろお

くろおの感想・評価

4.1
認知症老人の映画。って言っちゃえばそれだけで、特別なドラマがある訳じゃないのに非常に魅せられる作品。
その老人視点で事が進むので、現実と妄想、過去と現在がどこにあるか全く見えず絶妙な緊張感が終始流れる。
あんな状況だと、認知症関係なく気が狂ってしまいそう。

それにしても、出口のない迷宮に差し掛かったと思ったら、既にその只中に居た様な絶望感がある。アンソニー・ホプキンスが時折見せる、人として大事な物をポロポロ失っていってるような眼が忘れられない。
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